汚職事件で揺れる国際サッカー連盟(FIFA)の会長選挙前日となる28日、会場となるスイスのチューリヒで欧州サッカー連盟(UEFA)が会合を開いたホテルのロビーは多くの報道陣で埋め尽くされ、緊迫したムードが漂った。

 UEFAは5選を目指すFIFAのブラッター会長を批判し、29日の総会をボイコットすることも検討していた。FIFA会長選挙への立候補を直前で辞退したオランダ協会のファンプラーグ会長が会合後に現れ「ボイコットはしない」と話すとどよめきが起きた。

 28日夕刻に始まった総会の開会式は歌や踊りで華やかにショーアップされていたが、出席者の表情は硬かった。ゲストとしてスピーチした国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「FIFAは悲しく難しい時期にある」と現状を厳しく指摘した。

 日本サッカー協会の大仁邦弥会長は開会式後、今回の騒動が会長選に与える影響について「かなりあると思う」と険しい顔つきで言った。強い批判にさらされているブラッター会長を支持する方針は変わらないとした上で「いろいろな情報を聞き、明日(29日)まで考える」と含みを残した。