ACミランの日本代表FW本田圭佑(29)が1月31日(日本時間1日)、同DF長友佑都(29)が在籍するインテルミラノとの伝統の一戦「ミラノダービー」で初アシストを記録し、3-0の勝利に貢献した。珍しくサポーターから拍手を受け、試合後は自信に満ちた口ぶりで「勝った時は『本田が機能させた』と書いてくれればいい」。話題はミラン改革論に及ぶなど大いに語った。長友はベンチ入りしたが出番はなかった。

 とにかく厳しい聖地サンシーロで、本田が拍手を送られピッチを後にした。後半43分。7万超の大観衆で埋まったミラノダービー。いつも酷評の対象だった背番号10が称賛された。皮肉交じりに「今日もし引退することが許されるなら、ファンは僕への印象が変わるんじゃないですか。一喜一憂するから(苦笑い)」と振り返ったほど。出迎えたミハイロビッチ監督も存在価値を見直すように、背中をじっと見つめた。

 前半35分に左足クロスでDFアレックスの先制点をアシスト。流れを引き寄せ、その後は献身的なプレーでチームを引き締めた。公式戦8試合連続で先発出場。シンプルで気の利いたプレーで地味な役回りをこなす。大勝で気分が良くなったのか、試合後は取材エリアで久しぶりの“大演説”。「試合に勝てば『僕が勝たせた』と書いてくれれば。『不発』と書くのではなく、勝った時は『本田が機能させた』と書いてくれればいい。ミランでの得点はあまり求めないでほしい」と勝手にリクエスト。今は点を取るという自我を封印し、黒子に徹している。

 同じ取材エリアで大いに語ったのは、昨年10月。ナポリ戦後にクラブ、監督批判とも取れる強烈な発言をした時以来。以降、一時は出番がなくなる苦境を、プレースタイルを変えて脱出。完全に息を吹き返した。ただ、批判を恐れぬ物言いは変わらない。ミラン再建へ、また歯に衣(きぬ)着せぬ発言をした。

 「練習から若手の選手には言っている。明日は(この日)勝ったからみんな室内でマッサージを受けただけで終わる。でも、僕は走る。お前ら何歳や? お前らW杯出たのか? CL出たのか? って言う。ダービーに勝ったくらいで翌日の練習をしないのはどういうことだ、アホか!? っていう話はいつもしている。少なくとも今のミランの選手は世界トップではない。どれだけ謙虚に向上心を持って、若い選手はまたスーパーなミランを取り戻す、もしくは移籍でビッグクラブに、さらに強いチームに移籍する。そういうことを目指せる野心的な選手を、もっとミランが作っていかないといけないと思う」

 関西弁の「アホ」という愛のムチを使って語ることができるほど、確かな居場所がある。初めてダービーで結果を出した。これは偶然ではない。自他共に認める、もっとも「野心的な選手」なのだから。【波平千種通信員】

 ◆本田のミラノダービー 14年の移籍加入後、リーグでは5試合目。3試合に出場し、うち先発は2試合。この試合では最長の89分間プレーし、初アシストも記録した。対戦成績は2勝1敗2分け。