ウクライナ・サッカー協会が、元同国代表主将で現在はロシア1部ゼニトでアシスタント・コーチを務めるアナトリー・ティモシュチュク(42)を処分することになった。英メトロ電子版が報じた。

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現役時代にゼニトやバイエルン・ミュンヘンでMFとして活躍し、代表では史上最多144試合に出場したティモシュチュクは、ロシアのウクライナ侵攻についていまだに声を上げておらず、現在もゼニトのコーチを続けている。そのためウクライナ国内ではティモシュチュクへの批判が噴出している。

アタランタのウクライナ代表MFマリノフスキーはティモシュチュクについて「僕は彼のことを知らないし、コメントしづらい。だが彼が何も言わないのは変だ。正しくないと思う」とツイート。「もう彼は完全にウクライナサッカー界のレジェンドではなくなってしまった。彼の以前の偉業は忘れられてしまっていると思う」と非難した。

ウクライナ協会はティモシュチュクが倫理規定とフェアプレーの規則に違反し、同国サッカーのイメージを傷つけていると判断。ティモシュチュクに対し、ウクライナで発行されたコーチングライセンスを剥奪すると通達した。

加えてウクライナ国内でのリーグ戦、カップ戦で勝ち取ったすべての優勝メダルの没収も命じた。その中にはシャフタル・ドネツクでの3度のリーグ優勝および3度のウクライナ杯制覇のものが含まれるという。また代表での144試合の出場記録もなかったことにされる可能性があるという。

ウクライナ協会は「ロシアのウクライナへの軍事侵略が始まって以来、元代表キャプテンのティモシュチュクは公に声明を出していないだけでなく、侵略者のクラブとの協力をやめていない」

「彼がかつて所属したバイエルン・ミュンヘンがウクライナをサポートするために声明を出し、集会を開催している時に、ティモシュチュクは沈黙を続け、侵略者のクラブで働き続けている」

「意識的にこのような選択をすることで、ティモシュチュクはウクライナサッカーのイメージを汚し、倫理規定とフェアプレーの規則に違反した」などと声明を発表した。