【ニューヨーク5日(日本時間6日)=佐藤隆志】ノルウェー(FIFAランキング31位)の怪物FWアーリング・ハーランド(25=マンチェスターC)が、王国ブラジル(同6位)をのみ込んだ。後半34分に頭で均衡を破ると、同45分と左足のミドルシュートを決めて2-1と勝利。チームを8強に導くとともに今大会7得点で首位のメッシ、エムバペに並んだ。また、ブラジルFWネイマール(34=サントス)は代表引退を表明した。
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ゴールを略奪するバイキングのカシラ、ハーランドが太鼓を力強くたたいて音頭を取った。「バン!バン!」と響く音に続き、サポーターや選手たちが「ローッ!」と気勢を上げ、船こぎポーズをしてみせる。今大会5試合目、おなじみとなったパフォーマンス「バイキング・ロー」で喜びを分かち合った。
「もしかしたら、これはノルウェーの歴史に名を刻むことになるかもしれない。みんな楽しむだけでいい。今日は本当にクレージーな日だ。ノルウェーの歴史の中でも最もクレージーな日の1つだ」
圧巻の2得点だ。後半34分に左からのクロスを頭でたたき込み均衡を破った。同じプレミアリーグでしのぎを削るアーセナルDFガブリエルを力ずくで抑え込んだ一撃だ。続く後半45分にはパスを受けるとペナルティーエリア外から豪快に左足を振った。パンチの効いたボールをゴール右隅へと突き刺してみせた。
終盤までハーランドは何もしていなかった。それが大事なところで得点する。「チャンスは必ず来ると自分に言い聞かせ、集中力を保っていた」。代表の公式戦14試合連続得点の上、しかもこの期間で27点の荒稼ぎに「ゴールが完璧に決まるのは神様からの贈り物だと気づいている」。Aマッチ通算54試合62得点とした。
W杯にありながら、欧州CL決勝さながらのカードだった。ソルバッケン監督は「まるでマンチェスターC対Rマドリードのようだった」と口にしたほど。アンチェロッティ監督のもと守りを固め、ビニシウスらが鋭くカウンターを仕掛ける戦術は24-25年までのレアルだ。
対するノルウェーはアーセナルの司令塔エデゴールを軸にパスワークで揺さぶり、ハーランドが仕上げる。それはマンCそのものだ。ボール支配率はブラジルの32%に対し、ノルウェーは60%と圧勝(8%は中立)。王国と組み合って倒したのだから「全体的には私たちの勝ちだ。誇らしい」と矜持(きょうじ)を示した。
98年大会以来28年ぶりのW杯出場で台風の目となった。世界中のノルウェー人に笑顔を運ぶ男は「我々はただ前進している。信じられない気分だ」。試合後の会場にフランク・シナトラが歌った名曲「ニューヨーク、ニューヨーク」が流れていた。「そこで成功すれば、お前はどこだってやれる、すべてはおまえ次第さ」。歌詞の通り、ハーランドは大きな夢を抱いた。
◆アーリング・ハーランド 2000年7月21日、英国リーズ生まれ。ノルウェーのプリン育ち。元ノルウェー代表の父と陸上選手だった母を持ち、幼い頃から優れた身体能力を示して各年代別代表で活躍。19年のU-20(20歳以下)W杯では1試合9得点の離れ業をやってのけた。モルデ(ノルウェー)、ザルツブルク(オーストリア)を経て19歳でドルトムント(ドイツ)に移籍し、公式戦通算89試合86得点。22年5月にマンチェスター・シティー(イングランド)入り。プレミアリーグ得点王3度。公式戦通算198試合162得点。ノルウェー代表では国際Aマッチ通算54試合62得点。195センチ、94キロ。利き足は左。


