女子は新潟産大付が逆転V3を1時間15分6秒で決めた。ケニア人留学生のアンカー、5区のマーシャ・ヴェロニカ(3年)が別次元の走りで勝利に貢献した。トップ新潟明訓から54秒差の3位でタスキを受けて、ゴールした時は2位に37秒差をつけた。全国大会は12月23日に京都で行われる。

5キロのロードを新潟産大付のアンカー、ヴェロニカは短距離走のように飛ばした。54秒差の首位を追って、いきなり両足をトップギアに入れた。オーバーペースだったが、田中裕也監督(33)は心配しない。「恐れることなく突っ込んでいく。それが彼女のスタイル」。5区5キロをただ1人、16分台、それも前半の16分18秒をマーク。トップに躍り出ると、2位に37秒差をつけてのV3フィニッシュ。1区から4区まで、1度もトップに立てなかった新潟産大付を、アンカーが優勝の軌道に乗せた。

「昨日(10月30日)からずっと楽しみにしていた。優勝できるという気持ちがあった」とヴェロニカは話した。身長151センチ、体重40キロの小柄な全身に強風がまともに吹きつけても、力強い走りは変わらなかった。「風が強くても諦めなかった。結構、頑張った」。入学当時は、天候が雨なら「練習したくない」という気分屋の面もあったが、今は違う。3区を走った宮山碧唯主将(3年)はケニア人留学生の変貌ぶりを明かした。「いい練習ができなかった、と感じた時は“もう1回、やろう”と言ってくる。練習に取り組む姿勢が変わった」。

新潟産大付が初出場した一昨年の“都大路”は42位。昨年は37位と順位を上げてきた。田中監督は「今年の順位アップは厳しいけれど、チーム最高タイムは出したい」と話した。全国高校総体(インターハイ)と国体3000メートルで連続4位入賞したエースのヴェロニカは言う。「どの区間を走るか分からないけれど、区間賞を出したい」。はっきりとした日本語だった。【涌井幹雄】