全日本実業団対抗女子駅伝は25日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間(42・195キロ)で行われる。マラソンのMGC(※)ファイナリストの前田穂南(22)と小原怜(28)の2人を擁する天満屋が、ダークホース的な存在だ。

天満屋はマラソンの五輪代表を00年シドニーから12年ロンドンまで4大会連続で輩出してきた名門チーム。来年9月開催のMGC出場資格を得ている女子選手は現時点で8人だが、同一チームに2人いるのは天満屋とJP日本郵政グループの2チームだけだ。

過去3年間は、エース区間の3区(10・9キロ)を15年北京世界陸上に1万メートルで出場するなどスピードのある小原が走ってきた。だがその小原が10月に故障して万全ではないため、3区には前田が起用される見込みだ。前田はスタミナ型の選手だが、今回の3区でスピードを研き、次のマラソンでは速いペースに挑む。

天満屋は昨シーズン限りで、ロンドン五輪マラソン代表だった重友梨佐が引退した。「精神的な柱がいなくなった不安はありますが、走力という点では今年入った三宅(紗蘭=19)が去年の重友より上かもしれません」と武冨豊監督。夏前からマラソン組と同じ練習を行い、ほぼ同じ内容ができているという。小原の状態次第では、高卒1年目で5区(10・0キロ)に抜擢されるかもしれない。

1区は昨年区間8位の谷本観月(23)、2区は昨年区間2位の西脇舞(25)が走る予定で、前回よりも上積みが期待できる。3区の前田が粘りを発揮して3位で前半を乗り切るのが目指す展開だ。後半区間は「落ちないのではないか」と武冨監督は今年のチームに手応えを感じている。

小原の持っている能力は、天満屋の歴代の選手の中でも高い。故障明け短期間で状態を上げた実績もある。小原が5区で快走したとき、天満屋が8年ぶりの栄冠に近づく。

※MGC=マラソン・グランドチャンピオンシップ。東京五輪マラソン代表選考会。詳細はこちら>>