陸上女子短距離で昨年総体200メートル優勝、100メートル2位の石堂陽奈(立命館慶祥3年)が高校最後の舞台で短距離2種目の日本高校新を狙う。新型コロナウイルスの影響で中止となった総体の代替大会にあたる全国高校陸上2020(23日開幕、広島)に出場。自己記録11秒56の100メートルでは11秒43(土井杏南)、同23秒67の200メートルでは23秒45(斎藤愛美)の日本高校記録を塗り替えての2冠を目指す。

   ◇   ◇   ◇

高校トップスプリンターが日本高校記録で世代最強として名を刻む。石堂は高校3年間の集大成となる大会に全てを注ぐ。「ここで日本高校記録を出すしかない。100メートルが全部終わった後に、200メートル。もうどうにでもなれという感じで、最後にやり切りたい」。100メートルが24日、200メートルが25日。短距離2種目が重ならない日程も“追い風”にし勝負を懸ける。

八雲小6年の14年全国小学走り幅跳びで日本一になって以来、毎年表彰台の頂点に立ってきた。「ちょっと遅かっただけで、終わったなと言われる」。記録が順位に直結する競技で、常に周囲からの注目や重圧と戦いながらも世代最強は譲らなかった。

総体では1年で400メートルリレーで同校初優勝に貢献すると、2年の昨年は日本高校歴代4位の11秒56で100メートル2位、同5位23秒67で200メートル優勝。もう、ただの優勝では満足しない。12年ロンドン五輪出場の土井杏南(25=JAL)が11年に記録した100メートル11秒43、16年に斎藤愛美(大阪成蹊大3年)が出した200メートル23秒45の日本高校記録超えを、昨年から目標に掲げ続けた。

今年はコロナ禍で総体が消滅。目標を失いかけたが、0・01秒を縮めるために練習を重ねてきた。「スタートは大きくいく。腕振りの意識付けもずっとやってきた」。昨秋痛めた右脚のけがは「今季はだましだまし」と完全ではないが「調子はすごく良くて練習やアップでは良い動きができている」と手応えもある。

トップ選手でもコンディション調整に苦しんだ日本選手権では2年連続で決勝に進出も、スタート時に「動いているのにセットがかかった」。7位に終わったレース後には悔しさから大粒の涙を流した。「まだ止まっていないと審判に言っていれば、スタートが失敗しなければ…」。高校ラスト舞台には全てをのみ込んで、挑む。石堂は「全てがかみ合えば、2種目で日本高校記録は狙える」。頂点へ-。広島の地で、駆ける。【浅水友輝】

<石堂陽奈高校3年間の足跡>

◆堂々の高校デビュー 18年5月の道央記録会100メートルで高校デビューすると、総体道予選では同年アジア大会日本代表となった当時恵庭北2年の御家瀬緑(住友電工)に次ぐ2位。総体では1年生で唯一決勝に進出した100メートルで8位、400メートルリレーで優勝。

◆初の日本代表 高校2年の19年6月、初出場の日本選手権で100メートル8位になると、7月の南部記念100メートルでは土井らを抑えて11秒57(追い風2・3メートル)で優勝。総体では自己記録で100メートル2位、200メートル優勝。8月には日韓中ジュニア交流会(中国)で初の日の丸を背負って100メートル優勝。

◆コロナ禍のシーズン 高校最終学年の今季は例年よりも2カ月以上遅れて、7月の札幌地区高校春季競技会が初戦。8月のセイコーGGPで高校入学後初めてライバル御家瀬に先着し、高校生最上位の3位に入った。今月17日には全国高校リレー2020(神奈川)の女子400メートルリレーで3走を務め同校の8位入賞に貢献。