男子3000メートル障害で、昨夏世界選手権6位の三浦龍司(22=スバル)が、大会記録となる8分22秒07で優勝した。今夏のパリ五輪に即時内定となる参加標準記録8分15秒00切りはならなかったが、意識を勝負にシフトさせて勝ちきった。次戦の5月10日ダイヤモンドリーグ(DL)ドーハ大会で内定を狙う。男子100メートル予選では多田修平(27=住友電工)がレース中に右ふくらはぎ肉離れに見舞われ、途中棄権した。

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優勝を確信した三浦は、フィニッシュライン手前で笑みを浮かべた。数日前にかけたパーマは、広島の雨にぬれてカールがより細かくなっていた。「優勝を目標にはしていたので、勝負に勝つっていう意味ではすごく良かった」。本命種目での今季初戦をトップで終えて、充実感を漂わせた。

冷静にレースを展開した。序盤は2番手につけて様子をうかがい、残り約250メートルで先頭に出る。最後の障害を越えると、さらにギアを上げ、2位に1秒28の差をつけて振り切った。

昨夏の世界選手権で入賞しており、参加標準記録8分15秒00を突破すれば、その時点で五輪に内定する。この日、決まる可能性もあったが「そこまで(参加標準突破に)本腰を入れてはなかった。逆に15秒切れればいいし、いけなかったらそれはそれで勝ちにいこうという姿勢でした」と余裕もあった。タイムを見て、目標をシフトした結果、大会記録で勝負に勝った。

代表内定はお預けとなったが、5月10日のDLドーハ大会で「代表を決めてしまいたい」という計画だ。「障害との距離感を早い時期につかめたのは良いこと」と収穫あり。22歳は「世界大会で順調に成績を伸ばしているし、僕の経験値も上がってきているので、そういった成果をパリで見せたい」と宣言。21年東京大会に続く大舞台へ-。順大ジャージーを脱いで、今春に入社した「スバル」ジャージーで、目標へ着実に歩を進めている。【竹本穂乃加】