伊藤華英のハナことば

今こそ、心に響くイチローさんの言葉/伊藤華英

みなさん、どんな毎日を送っているだろうか。

イチロー氏
イチロー氏

3月の時点では、4月には終息すると思っていた新型コロナウイルスの影響。私も心のどこかでいつかは終わると思っていたが、簡単には終息しない状況になってきた。

英国のエリザベス女王が「私たちが団結し、強い意志を持ち続ければ、打ち勝つことができる」と国民に連帯を呼びかけたように、今こそみんなで頑張る時だと思う。

インターネットが普及し、調べたいことがすぐ手に入り、人と話さなくてもいい時代が心配されてきていたが、今はその技術や時代の背景を利用して世界が危機感を共有し、この暗いトンネルを抜けていければと思う。

大学の恩師が、もう同じ世界には戻れないとも話していた。その中で、楽しみをみつけて新たなチャレンジが必要になってくると言っていた。

東京2020大会が延期になり、選手がここに照準を合わせて努力してきたことを想像すると、心が落ち着かなかった。東京2020だけではない。各企業の計画や、個人の目標も先が見えなくなってきた。私は「このイライラした気持ちは何なのだろう?」と考えた結果、現実を受け入れられていないんだ、と気持ちの根源を見つけた。

そんな時、トヨタ自動車の入社式がオンラインで行われるとのニュースを聞いた。その中でイチローさんの新入社員へのメッセージが話題になっているとのことだった。

私は現役時代も、イチロー選手の態度や行動、言動に刺激を受けてきた。「メンタルが不調な時は、フィジカルを整える。フィジカルが不調な時はメンタルでカバーする」。幾度となくこの言葉に助けられたし、プレッシャーよりも信念を貫く姿勢を心から尊敬していた。今でも、もちろん尊敬するアスリートだ。そして人としても、あんな偉大な方なのに謙虚な姿勢を見ると、自分がちっぽけに感じる。気づきをくれる方だ。

早速拝見してみると、予想通りの素晴らしい内容のメッセージだった。「成功とはまっすぐに目的地へ到達することではなく、前進と後退を繰り返して少しだけ前へ進む、後退も成長に向けた大切なステップである」と話していた。

イチローさんは、現役時代、首位打者をとっても、ヒットを誰より打っても、次の年には、バッティングフォームを変えてきたという。成長するということには、とても大切なことだと言っていた。

つまり、チャレンジをしたことによって後退しても自身の成長につながるということだ。


今、目標を見失っている人もいるだろう。この危機を脱するため、人の命を守るため、「もっと動きたい」と思っている人もいるだろう。

この広い世界の1人として、できることをする。なんでもいい。実行してみるのがチャレンジなのではないかと、イチローさんのメッセージを聞いて思った。

みんなでこの時を乗り越えていきたい。素直にそう思えた。1人1人の行動が世界のためになる。「世界は一つ」なんだと感じるし、今まで見えなかったことが見えてくる。

そして、私は運動不足にならないように、家の中でもできるトレーニングを継続しようと思う。

心穏やかに乗り切っていきましょう。

(伊藤華英=北京、ロンドン五輪競泳代表)


イチローさんからのメッセージ→ 

https://www.youtube.com/watch?v=DsHJU_juB8E

競泳界で「美女スイマー」として活躍し、北京、ロンドン五輪に出場した伊藤華英さんが、水泳に限らずさまざまなスポーツの魅力をアスリート目線でお伝えします。
 ◆伊藤華英(いとう・はなえ)1985年1月18日、埼玉県生まれ。01年世界選手権で初の日本代表入り。08年北京五輪で背泳ぎ2種目出場、12年ロンドン五輪で自由形リレー2種目出場。12年秋に現役引退。順大大学院博士後期課程修了。日大非常勤講師。173センチ。

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