自転車のマウンテンバイク(MTB)で、東京オリンピック(五輪)男子代表の山本幸平(35=DREAM SEEKER RACING TEAM)が24分48秒87のタイムで圧巻な実力を見せて、今季V締めだ! 五輪の1周約4キロ強よりも短い800メートルのショートトラックの全日本選手権が初めて日本で行われ、記念すべき初代覇者に山本がついた。山本は「都市部のレースで、こんなにMTBにお客さんが来たのは初めて。本当にうれしい」と喜んだ。

余裕しゃくしゃくだった。20人が出走した決勝は25分間のレース。前半は先頭でレースを引っ張り「先頭集団を減らすことができた」。同集団が6人に絞られると、中盤は4~5番手に下がり力を温存。何も分からなく見ている方は、五輪代表が表彰台にも上がれない波乱かと不安視した。

しかし、「(これまでの)経験で、体が自然に動いた」と、残り2周で一気にスパート。あっという間に先頭に躍り出ると、差は広がる一方で、ゴールの瞬間、ガッツポーズで勝利を祝った。チームメートが2位に入ったが、「最後はスプリントで競りたかったのに」と、力の差を見せつけた。

今季のレースはこれで最後。コロナ禍で、他のスポーツと同様に、多くのレースがキャンセルとなり「メンタルが大変な年だった」。年末年始は、妻敬子さんがトライアスロン選手時代に拠点としていた沖縄で、東京五輪に向け合宿をする。

4度目の五輪となる。「自分にとって最高のキレキレの走りを見せたい」。通常の距離の全日本では12度の優勝を誇る日本のMTB界のレジェンドだ。3月には第2子が誕生予定で、「五輪は2人の子供と一緒にですね」。プロとして挑む東京五輪は集大成だ。