神戸製鋼ジム・マッケイ・ヘッドコーチ(HC=49)がパナソニック戦14連敗(日本選手権を含む)となる完敗を潔く認めた。

 ノートライに封じられ、地元神戸のファンにとってはショッキングな結果。試合後の会見で「何の言い訳もない。最後まで(試合を)コントロールできなかった」と振り返った。

 今季目指すスタイルは崩さなかった。スーパーラグビー・レッズのアシスタントコーチとして優勝経験のあるマッケイHC。「アタッキングラグビー」を掲げ、中盤ではボールを保持しながら防御網突破を狙い続けた。対照的にキックによる陣地取りの意識が強かったのはパナソニック。王者は接点で優位に立ち、奪い取ったボールを使って神戸製鋼陣内奥深く攻め入ってきた。

 勝敗を分けるとみられたスクラムでも、神戸製鋼は苦戦した。7点ビハインドの後半18分には相手の思惑通りにスクラムを回され、SH田中にダメ押しトライを許した。神戸製鋼のフランカー橋本主将は「ブレークダウン(接点)、ハンドリングスキルが十分じゃなかった。ゲームマネジメント(進め方)がうまい相手に対して、どう戦うか。そこを模索しないといけない」と素直な心境を語った。

 昨季の神戸製鋼はキックなどを用いて相手陣内に入ることを強く意識し、強みのモールなどでパナソニックに勝負を仕掛けた。今季のスタイルは違う。それを貫いた結果、分かった力の差だった。

 グラウンドから引き揚げる際、日本代表のパナソニック・フッカー堀江主将は、戦っての率直な感想を口にした。「去年とは全く違いました。まだやり始めたばかりなのだと思うけれど(神戸製鋼の新スタイルをできる)メンバーがそろっている。僕としてはボールを動かしてくる(今の)方が嫌。こっちの方が、どのチームも嫌がると思う」。

 神戸製鋼のパナソニック(三洋電機を含む)戦白星は、トップリーグが創設された03年度が最後。ここで立ち止まるのか、進むのか。その結果が、今シーズンの出来を占うことになりそうだ。