国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が2020年東京五輪の複数種目を東日本大震災の被災地で実施するとした構想が、野球・ソフトボールに加え、ほかの団体球技の1次リーグも想定していることが21日、IOC関係者への取材で分かった。バスケットボールやバレーボールが考えられ、既存施設で実施することで、コストをかけずに「復興五輪」を世界に発信する狙いがある。

 IOC関係者は「具体的な競技や会場は未定で今後の検討課題だが、いずれも1次リーグになるだろう」と語った。別の関係者は、同じ施設で複数の競技を実施すれば、セキュリティーを含めた経費抑制の観点で効果的と指摘した。1次リーグの一部試合であれば東京からの移動も可能で、分村の必要もなく、IOCが重視する選手村での交流もできると期待した。

 バッハ会長は19日の安倍晋三首相との会談で、被災地での複数種目実施を提案。大会組織委員会が福島市での開催を検討している追加種目の野球・ソフトボールについて「それも選択肢の一つ。例えば日本チームが参加する野球の最初の試合をやれば、パワフルなメッセージの発信につながる」と述べていた。

 東京都の小池百合子知事が検討するボート、カヌー・スプリント会場の見直しとともに、バッハ会長の提案で設置が決まった政府、東京都、組織委を含む4者の作業部会で議題になるとみられる。