柔道の世界選手権(8月開幕、ブダペスト)に出場する男子100キロ超級の王子谷剛志(24=旭化成)が2日、不器用な男ぶりを発揮した。

 都内で行われた男女代表の共同記者会見に出席。王子谷は世界選手権について「初出場でテンパる部分もあるかと思うけど、そこはしぶとく堂々と戦いたい。準備は前からやっているので金メダルを目指して、1日1日を過ごしたい」と決意表明した。

 男子代表9人で中央に手を集めて記念撮影する場面では、端で「て、て、手が届かない…」と困惑していた。

 世界に縁がなかった。リオデジャネイロ五輪の最終選考会を兼ねていた昨年の全日本選手権は優勝したが、代表の座を逃した。同11月の講道館杯から国内外の大会で5連勝中。組み手強化のために、60キロが限界だったダンベルを90キロまで引けるようになった。3回しか上がらなかった懸垂も10回までできるようになった。先月29日の全日本選手権決勝では100キロ級のウルフ・アロン(21)を延長戦で下し、世界選手権の切符を初めて獲得。途中、両者は顔から出血し、王子谷は唇を切った。「食事が出来ないことが残念」と口にし、翌30日に15針縫った。

 井上康生監督も「どの選手とやっても対応できる準備をしていた。文句なく代表にふさわしい」と太鼓判を押していた。畳の上では鬼気迫る表情をするが、降りると癒やし系。男子代表でも和みを与える存在になるだろう。