違法カジノ店での賭博行為で無期限の試合出場停止処分が科されていたバドミントン男子の桃田賢斗(22=NTT東日本)が416日ぶりに再起した。昨年4月6日のマレーシア・オープン以来の実戦で和田周(26)と対戦。わずか27分、2-0のストレートで圧倒した。謹慎中は競技が続けられる感謝を忘れず、嫌いだった走り込みと筋トレに励み、体重は約3キロ減。天性の技術だけでなく、心技体を備えた「ニュー桃田」が、3年後の東京五輪へ、第1歩を踏み出した。

 笑顔も雄たけびもない。プレー中に喜怒哀楽を前面に出した、かつての桃田の姿はない。416日ぶりの実戦。勝負が決まると、軽く左拳を握る。遠慮気味に感情を初めて表に出すと、四方の客席に頭を下げた。「皆さんに支えられてコートに立てた。1点より1球1球を大切にプレーできました」と復帰の喜びをかみしめた。

 わずか27分の完勝も心中はブランクと格闘した。前夜は午前0時まで眠れなかった。「最後まで余裕はなかった。気持ちはいっぱいいっぱい」。そんな状況でも左の強烈なスマッシュと、ネット間際にシャトルを落とす「ヘアピンショット」など、世界トップクラスの技術を見せた。