東京都の小池百合子知事が築地市場跡地を通る環状2号線の2020年東京五輪・パラリンピックまでの開通と、市場跡地の駐車場としての活用を明言したことを、大会組織委員会の森喜朗会長は20日、「一安心した」と受け止めた。一方で、市場移転の判断が遅れたことには「なぜこの結論を出すのにこんなに時間がかかるのかなと思う」と苦言も呈した。

 都心部と選手村のある中央区晴海などの湾岸エリアを結ぶ予定の環状2号線は大会運営上の大動脈で、都は招致段階で国際オリンピック委員会(IOC)に提出した「立候補ファイル」でも開通を約束していた。ただ、判断の遅れで跡地の地下を通す予定だったトンネルは大会までの完成が間に合わず、都は地上に代替道路を整備する方針だ。組織委は大会中、跡地を関係車両3000台程度の駐車場に想定している。

 組織委の武藤敏郎事務総長は、代替道路では十分な車線数を確保できるかどうかが見通せず、信号が多いことでスムーズな輸送が妨げられる可能性があると指摘。「交通容量に制約が生じてくる」とし、都に大会時の対応策を求める考えを示した。森会長はトンネルの整備を間に合わせるためには、3月末までの移転判断が必要だったとの見解を示した。