Bシード東海大仰星(大阪第2)の“くじら君”が、Aシードの優勝候補・東福岡(福岡)から会心の2トライを決めた。

 フランカー魚谷勇波(いさな、3年)が前半21分、30メートルものドライビングモールにのって、ボールを抑えた。14-0の後半2分にもトライを奪った。東福岡がラインアウトでノットストレートを犯し、左中間ゴール前13メートルのマイボール・スクラムから右へ展開しラックを形成。その右サイドをタイミング良く突き、インゴールへ飛び込んだ。

 「モールのトライは、もう行けるとこまで行けって感じで。2本目は狙っていたプレーです」

 名前は「勇波」と書いて「いさな」と読む。いさなは「くじら」の古語で、海好きの両親が「大きな人になってほしい」と願い、つけてくれた。身長168センチの魚谷は「体は大きくないんですけどね」と苦笑いする。入学当時は164センチ、65キロで1年時はSH。先輩の勧めもあってフランカーに転向した。目標体重を「高望み」(魚谷)して80キロに設定、今大会前には78キロまで増やした。現在は少々やせて74キロ。「オマエがウチのFW平均体重を落としてる」と仲間にからかわれるが、魚谷の“大きさ”の真価はそこじゃない。

 新チーム結成時、湯浅大智監督から副主将に指名された。CTB長田智希主将(3年)が引っ張るチームを、後方から見つめ、苦しそうな、脱落しそうな仲間には声をかけたりする。中学でSOの元SHが持つ視野の広さで、フィールド内外のチームを支えてきた。

 昨年度大会決勝で敗れた東福岡にリベンジした。「ここで満足したら、絶対にあきません」。大阪桐蔭との大阪決戦となる決勝も、小さな体と大きな存在感でキーマンになる。