世界ランク3位の国枝慎吾(34=ユニクロ)が同43位の荒井大輔(30)を6-0、6-0のストレートで圧倒し、2回戦進出を決めた。

 「上々のスタート。仕上がりは順調で、自分のテニスに期待しています」。国枝は大粒の汗を流しながら笑顔で報道陣に囲まれた。この日の飯塚市は快晴で最高気温は27度を超えたが「暑さ? 僕は暑いのが大好きなので、もっと気温が上がってもいい」とコメントも弾む。いきなり荒井のサービスをブレークすると、サービスもクロスもダウンザラインも面白いように決まっての圧勝だった。

 昨年までの3年間、右肘痛みに悩まされてきた。16年のリオデジャネイロ・パラリンピック終了後に手術を受け、リハビリとトレーニングの中で患部に負担がかからないようにバックハンドのフォームを修正。試行錯誤を繰り返した末に、今年1月の全豪で15年の全米以来遠ざかっていた4大大会王座に復帰し、「絶対王者」復活を印象づけている。

 今年からこの大会の男女優勝者に天皇杯・皇后杯が下賜されることになった。世界ランクの上位選手がこぞって出場する国際大会では異例だが、約2000人の市民ボランティアに支えられる「イイヅカ・スタイル」と言われる運営法式も高く評価されたという。

 「この大会のホスピタリティーは素晴らしい。外国人選手にも温かさを感じてほしい。ただ、天皇杯は日本人にとって価値のるもの。日本選手が取れるように、自分もトライしたい」と国枝。3年ぶり9回目の優勝へ、15日の2回戦では世界22位の藤本佳伸(42)と対戦する。

【小堀泰男】