世界ランキング11位の日本が同12位のジョージアに28-0で快勝し、6月のテストマッチ3連戦を2勝1敗で終えた。前半を3PGの9-0で折り返すと、後半にロックのファンデルバルトらが3トライを奪い、突き放した。守っても世界屈指のスクラムを誇るジョージアを完封し、19年ワールドカップ(W杯)日本大会に向け成長を示した。11月には、同1位のニュージーランド、同6位イングランドと強豪との2連戦に臨む。

 1つに固まった日本FW8人の圧力が、勝利を呼び込んだ。トライを奪えずに迎えた後半8分。敵陣深くでの相手ボールのスクラムで、プロップ稲垣が「狙っていこう」とフッカー堀江、プロップ具智元に伝えた。世界屈指のスクラム強国ジョージアをぐっと押し込むと、苦し紛れに出された球にプレッシャーをかけ、落球を誘う。ボールを奪うと、最後はファンデルバルトが中央をこじ開けるようにインゴールに飛び込んだ。

 相手が得意とする局面での真っ向勝負で流れを引き寄せ、守ってもジョージアの単調な攻撃を完封。3連戦を締めくくる快勝に、ジョセフ・ヘッドコーチは「スクラムで相手を劣勢に追い込めた。防御が非常に良く、著しい成長を見せられた」と胸を張った。

 8強を目指す19年W杯に向け、日本ならではのきめ細かなスクラムを目指してきた。指導する長谷川コーチの合言葉は「歯磨き」。FW第1列の3人は、全体練習終了後、毎日短い時間でも肩を合わせ、感覚を共有。スーパーラグビーの強豪を相手に試行錯誤を繰り返しながら、技術と呼吸をすり合わせてきた。積み重ねが成果となり、堀江は「まだ完璧ではないが、ジョージアと対等に組めたのは自信になる」。具も「ちゃんと組めれば、圧力は感じなかった」とうなずいた。

 6月の3連戦で、セットプレーの成長を実感し、同時に、相手裏へのキックで体力を消耗させ、終盤に得点するというチームが目指す方向性も明確になった。11月に控える世界トップとの強豪2連戦でも、W杯に向けた確かな爪痕を残してみせる。【奥山将志】

 ◆ラグビーW杯 4年に1度行われる世界一を決める大会。第1回は1987年に16カ国・地域が参加してオーストラリアとニュージーランドで共催。99年から出場枠は20。来年の日本大会は初のアジア開催で9月20日に開幕し、11月2日が決勝。前回15年イングランド大会はニュージーランドが2大会連続3回目の優勝。夏季五輪、サッカーW杯と合わせた世界3大スポーツイベントの1つ。