松島幸太朗初トライ 仏リーグって?経験日野が解説

  • 昨年のラグビーW杯サモア戦で相手ディフェンスを突破する松島幸太朗(2019年10月5日撮影)

フランスってどんなリーグ? ラグビー元日本代表フッカー日野剛志(30=ヤマハ発動機)が、世界最高峰リーグを解説した。昨年8月から約3カ月間、人事交流の一環で同国1部トゥールーズに在籍していた。

19日(日本時間20日)の欧州チャンピオンズカップ準々決勝では、クレルモンに加入した日本代表FB松島幸太朗(27)がラシン92との同国勢対決で移籍後初トライ。日野は松島と代表やスーパーラグビー「サンウルブズ」で共闘してきた。リーグ開幕戦先発を含めて昨季3試合に出場した経験を踏まえ、強豪国での後輩の活躍に期待を込めた。

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マツ(松島)の挑戦を聞いた時から、活躍できると思っていました。フランスリーグは大きなFWが、直線的にどんどん体を当ててきます。それは現地に行く前のイメージ通りで、実際にやってみても壁のようでした。一方で意外だったのは、BKは小さく、速い選手が多いんです。大きなFWの間のスペースを抜けるシーンもよく見る。昨年、同時期にリヨンへ移籍していた(元日本代表の)山田章仁さんと現地でお茶をした時も「BKは意外と大きくない。日本人の方がパスうまいんじゃない?」という話で共感し合いました。

南半球の「スーパーラグビー」はオフロードパス(タックルされながらのパス)も技術に基づいてやる一方、フランスはギャンブル的にやることが多い印象です。それがつながれば連鎖して、超スーパープレーになる。マツはリーグ開幕戦(6日、トゥールーズ戦)も相手防御を突破していましたが、正確な技術もあるし、個の力も通用するはずです。

プレー面以外では「自分たちの文化が最も美しい」という、誇りを持っている印象です。トゥールーズも大きなクラブですが、英語の通訳がおらず、ミーティングはフランス語だけで進みました。フランス語が分かる外国人選手が「分かるか?」と言って、英語に訳してくれる。一方でフランス語が話せなくても、何か単語を覚えて話しかけると、味方になってくれます。

僕とトゥールーズで同僚だったSHの選手がクレルモンに移籍をしていて、マツには「(彼に)これを言ってみたら?」と単語を教えておきました。オープンにできるような、きれいなフレーズではありませんが(笑い)、そういった一言がきっかけでも、チームになじめると思います。とにかく「郷には入れば郷に従え」という、お国柄です。

ファンの特徴は本当に熱狂的。ホームでは9割9分が背中を押してくれます。感覚的には毎週、W杯をやっているようです。僕も開幕戦翌日、初めて行ったパン屋のおばちゃんに「ナイス!」と声をかけられたり、町を歩いていたらクラクションを鳴らされました。ヤマハのフランス遠征時には、日本人を見ただけで「ヒノ!」と声をかけてくれる状態。活躍しないと厳しいことも言う人も出てきますし、活躍すればするほど愛されます。サッカーやツール・ド・フランスとともに、本当に人気があるのがラグビー。マツにはフランスで一番、有名な日本人になってほしいです。

フランスリーグは来年6月まで続く長丁場。マツも日本では出続ける立場でしたが、チーム方針で休養となる試合も出てくると思います。フランスは若い選手が多いので、27歳でもベテランの域に入ってくるでしょう。ピッチがぬかるんでいたり、体への負担も大きい。休む時は休んで、出た時に最大限のパフォーマンスを出すことが、大切だと思います。上手に心も体も休めて、長く活躍してくれることを願っています。

◆日野剛志(ひの・たけし)1990年(平2)1月20日、福岡市生まれ。4歳でラグビーを始め、筑紫高を経て同大。トライアウトをきっかけとし、12年にヤマハ発動機入り。16年11月のウェールズ戦で日本代表デビューを果たし、通算4キャップ。17年にはサンウルブズ、19年にはトゥールーズでもプレー。趣味はコーヒー、サーフィン。172センチ、98キロ。