日本のエースが戻ってきた。世界45位の錦織圭(31=日清食品)が、20年全仏1回戦以来、155日ぶりの勝利を“金星”で飾った。同19位で第7シードのオジェアリアシム(カナダ)に7-6、6-1のストレートで勝ち、「(復帰して)1番良かった試合だった」と、今季初勝利を上げた。

錦織がトップ20の選手に勝ったのは、19年1月のブリスベン国際決勝で当時16位だったメドベージェフ(ロシア)を破って以来、約2年3カ月ぶりとなった。

ようやく錦織のテニスが帰ってきた。「自分のテニスが戻ってきている感じはある」。速い展開だけでなく、ミスが少ないストロークを打ち分け、相手のミスを誘った。「このレベルで戦えているとは感じている」。

サーブは、19年末から改良し始めて以来、最も機能した。1度も自分のサービスゲームを落とさず「サーブが良かった。非常に高い確率で入って、ポイントにもつながった」。速度よりも相手に攻められないサーブを目指し、エースはわずか1本ながら、相手のパワー・リターンを封じ込めた。

相手は20歳で、ツアー屈指のパワフルなストロークが持ち味だ。2月の全豪前哨戦で準優勝。全豪本番でもベスト16に進んだ。しかし、速い展開で、相手の体の軸をずらして、その強打を封じ込めたのは見事だった。

錦織は、19年10月に右ひじを手術。昨年4月に復帰予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大でツアーが中断。8月には自身がコロナに感染し、復帰は昨年9月になった。10月の全仏で右肩を痛め、その後は欠場。今年2月にオーストラリア入りした際には、飛行機の同乗者に陽性者が出たため、同国入りしてから2週間、部屋から1歩も出られない完全隔離を味わっていた。今季は、2月のATPカップ、全豪と3試合して、まだ勝ち星がなかった。

錦織は今大会、マクラクラン勉と組んでダブルスにも出場予定。1回戦は、日本時間2日、午後7時に開始予定だ。

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