高校3冠を狙う報徳学園が“逆転サヨナラ”で7大会連続48度目の花園出場を決めた。
春の全国選抜大会、夏の7人制王者が県内のライバル関西学院に後半4分、PGで先制され、逆転したが同28分に再逆転を許し、14-15。絶体絶命のラストプレーでマイボールのキックオフからターンオーバーを決め、ミス即ゲームセットの状況下で、高校日本代表候補WTB海老沢琥珀(3年)が起死回生の逆転トライを決めた。
◇ ◇ ◇
試合終了間際、報徳学園は逆転された。時計表示は29分過ぎ。ロスタイムはなし。マイボール・キックオフを相手にキープされたら終わる。同候補SO伊藤利江人(3年)は浅めに蹴り、ボール奪取を願ったが、関西学院がキープした。ところが、ボールがこぼれた。同候補NO8石橋チューカ(3年)が拾い、密集を抜け、左ライン際を駆け上った。
「30分10秒」から攻めた。敵ゴール目前で何度もラックができた。あと1歩、数十センチが届かない。それでも焦らない。「おいおい、いっぱい空いてるスペースあるやないかと…。そやのに行かんと、めっちゃゆっくりボールを動かしよった」。西條裕朗監督(59)でさえ焦れるほど重ねたフェーズ。そして動いた。同候補SH村田大和(3年)からSO伊藤をへて、ラストパスを受けたWTB海老沢がインゴールに飛び込んだ。「32分10秒」だった。
1週間前から、フェーズを重ねるアタック練習の難度を上げた。「相手の力が上がるほど、点は取りにくくなるから」とコーチのリクエストを受け、10回ほどだったフェーズの数を15回、それ以上に-。「早く決めたい? そう思います。前に狭くてもスペースがあれば行きたくなる。でも、ハイリスクですから」とフィニッシャーの海老沢は苦笑いした。
大変な試合だった。6月に52-21と完勝した関西学院の闘志、出足にのまれ、何度もノックオンした。マイボール・ラインアウトも半分以上決まらなかった。後半14分に14-3としたのに、逆転までされた。ただ最後の最後は、勝負どころはきっちり仕留めた。
西條監督は大苦戦を「勝てたことが何より。いろんな経験を積んできて、それがつながっていると思う」と評価する。
3月の選抜大会で優勝した。決勝戦は、コロナ禍直撃の東福岡の辞退による不戦勝だったが、準決勝では19、20年度花園王者の桐蔭学園(神奈川)を36-21で破った。10月15日には昨年度花園王者の東海大大阪仰星を29-24で破った。
高校3冠へ。念願の花園制覇へ。「狙えると思いますよ。狙えるときは狙わんとあかん」と西條監督。現チームのスローガンは「ビッグインパクト」だ。NO8石橋は「花園で1回も優勝したことない学校が、優勝する。それがビッグインパクトと思います」と言った。高校日本代表がFW3人、HB2人、BK3人の計8人もいる。花園4強が最高の歴史を塗り替える冬が始まる。【加藤裕一】


