平成の時代、大学ラグビー界における「3連覇」は重たかった。84年度に平尾誠二さんを擁した同大が達成。11年度に帝京大が27年ぶり快挙で並び、9連覇に至った。当時監督だった岩出雅之顧問(65)は「同志社さんの記録があった。現在は自分たちが果たしたことに対し、1年1年の積み重ね。監督も代わり、学生気質も変わっていく。世の中の変化と同じく、大切にする部分と、変化をミックスしないといけない」と3例目の3連覇を見つめた。
「石垣の大きな石を相馬(朋和)監督、僕は小さな石を詰める。小さな石だけでは何もできないけれど、大きい石だけでもぐらつく。ただ、もう大丈夫かな。去年以上にいいバトンタッチができた。素晴らしい指導者に“なりつつ”ある」
考えることを怠らない文化がある。就任2季目の相馬監督はある日、部員が大学でとる朝食の時間がルーズになっている話を耳にした。「我々にふさわしい行動って何だろうね。そもそも食堂への入室、食べ終わりの時間、どちらが守られるべきだろう?」。部員は慣例化したルールありきではなく、目的を考えた。時間をかけて食事する大切さ? 朝食後の練習に向けた準備? 「両方が大事」と出た結論にも意味がある。
スポーツ心理学の授業を持つ相馬監督は、自らの学びを生かした。実戦形式練習。遠隔で学生レフェリーに「今、反則吹いて」と伝える。本来は反則でない場面で笛が鳴り、初めは「何でだよ!」と選手が戸惑った。レフェリーが答えられずにいると、意図を察知し、先に次のプレーへ体を動かす習慣がついた。「試合への心持ち。(反則時は)それがふさわしい行動ですよね」。微妙な判定があった準決勝後、フッカー江良主将は「何を言ってもレフェリーさんが正解。フラストレーションをためずにできた」と動じなかった。
この日、相馬監督は試合中から部員の成長に表情を緩めた。「いつもと違ったプレッシャーを受けた学生たちを見ながら、1秒1秒を積み重ねていく姿を誇らしく、うれしく、楽しく見ていました」。そこに進化を続けながら頂に立つ、王者の姿がある。【松本航】


