9年ぶりにラグビー日本代表へ復帰したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)による英才教育が始まった。初の試み「ジャパン・タレント・スコッド・プログラム」が25日に都内で始まり、27年W杯オーストラリア大会を目指す大学生14人が参加。技術、精神面、体作り、栄養ある食事など国際レベルを浸透させることを目的に、代表スタッフが年間を通してサポートする。理想とする「超速ラグビー」へ、新プロジェクトが動き始めた。

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64歳のジョーンズHCが、孫のような年齢の大学生に向き合った。FW、BKに分かれた練習。BKによる4対3の攻防で防御側の1人目に立ち「ジョウズ(上手)、ジョウズ」と走るコースを指導した。午後は選手と1対1のミーティング。元気いっぱいの名伯楽の表情に充実感が漂った。

「代表の扉は開いている。彼らにアイデアは渡しました。今日は27年W杯に向けた1日目の準備でした」

若手育成は重要なテーマの1つだ。国内最高峰リーグワンの視察と並行し、今月はU20(20歳以下)世代を主に遠征したサモアにも同行。自らの目と情報収集で有望な14人を選んだ。早大2年のFB矢崎由高の走りは最高時速34・5キロを記録。元代表WTB福岡堅樹さんまで約1キロ差に迫るダイヤの原石には、加速力を磨く必要性を説く。京産大2年のSH高木城治には「15年W杯の田中史朗を目指せ」と促し「フミが素晴らしいのは、みんなを前に出す。相手にたたみかけることが、超速ラグビーで最も大事になる」と直接対話で訴えた。

昼食は1500キロカロリーのメニューを用意し、白米は最低限の200グラム。机の中央には1個100グラムのおにぎりが置かれ、選手の体作りの目的によって個数が設定されている。次回は6月に再集合し、1年間はメンバー入れ替えなし。タックル前の手の向きの指導が新鮮だったという矢崎は「『フル代表へのチャンスがある』と言ってもらった。こういう場を設けてもらい、アピールするチャンスが多い」と意欲をみなぎらせた。

直近では5月下旬から代表候補合宿が始まる。ジョーンズHCは「(参加した大学生も)チャンスがあります。4~5人の選手は次の12カ月で、日本代表としてプレーできるポテンシャルがある」と断言。日本ラグビーの可能性を広げる挑戦が始まった。【松本航】

◆今後の日本代表 5月20日から代表候補合宿(菅平)実施。リーグワンのプレーオフ(1部上位4チーム)、入れ替え戦対象チーム以外の選手で選考し、6月6日開始の代表合宿(宮崎)につなげる。U20日本代表は5月下旬にニュージーランド遠征を控え、この日の参加メンバーも主軸となる。6月に予定するプロジェクトの第2回へ、ジョーンズHCは「宿題を与えた。どれぐらいやってくるか。しなかったら、その時は自分のスマイルはなくなるかも」と“予告”した。

<参加メンバー>

◇FW

八田優太(京産大2年=城東)

佐藤健次(早大4年=桐蔭学園)

石橋チューカ(京産大2年=報徳学園)

田島貫太郎(明大4年=東福岡)

青木恵斗(帝京大4年=桐蔭学園)

福田大和(帝京大1年=中部大春日丘)

◇BK

高木城治(京産大2年=東福岡)

土永旭(京産大4年=光泉カトリック)

伊藤龍之介(明大2年=国学院栃木)

本橋尭也(帝京大2年=京都成章)

秋浜悠太(明大4年=桐蔭学園)

海老沢琥珀(明大2年=報徳学園)

矢崎由高(早大2年=桐蔭学園)

小村真也(帝京大4年=ハミルトンボーイズ高)