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後藤新弥 スポーツ&アドベンチャー
後藤新弥 スポーツ&アドベンチャー
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 2005年04月05日更新 | 新弥のDAYS' | バックナンバー |
スリップ転倒
写真=雪道でスリップ転倒。プロの練習コースには、見えない地獄が待っていた(長谷川文撮影)

菅平高原で雪道の限界地獄

MTB界の実力NO・1山口孝徳選手からプロの極意を盗む!?

 バリバリッと、スパイクが氷をかむ。前夜降ったばかりの雪を豪快にタイヤが蹴散らしていく。凍結した林道をMTB(マウンテンバイク)で駆け抜ける。おやじサイクリストが、春まだ浅い菅平高原の白銀世界へアタックをかけた。今年2月、MTBの実力日本一、山口孝徳選手(31)の厳冬期特訓を垣間見たのがきっかけだった。プロの秘密を盗む。甘美な言葉だが、考えも甘かった。


ビアンキ車
写真=今季は名車ビアンキ車を使う

菅平高原は氷点下

 早朝の国道144号は交通もまばらだった。幸村や十勇士ゆかりの地、長野県小県郡真田の町をスタートすると、3月末というのに舗装面が凍り付き、国道144号は高度を上げるに従って寒さが増した。

 白い樹林、太陽が出ても気温は氷点下2度だった。

 ガリ、ゴリッ。スパイクタイヤが氷雪をかみ砕き、この日のために8000円でヤフーで落札した中古MTBが元気に走った。勇ましい音はまるで戦車だ。おやじは雪のロンメルだ。

 ペダルは重いが吹き出る汗は気持ちいい。プロの秘密を盗むのだ。盗む。なんと甘美な響きだろう。

☆   ☆

スパイクを打ち込んだタイヤ
写真=おやじも生意気に、スパイクを打ち込んだタイヤを使った

 2月のことだった。雪洞の体験取材に来たときだった。吹雪混じりの峠道を山口選手が疾走していた。

 MTBクロスカントリーは五輪でも正式種目。山野を駆け抜ける体力と技術の限界競技だが、通常は雪のない道でオフトレをする。思わず呼び止めた。

 「確かにこれはふつうじゃないですね。からだは冷えるし、スパイクタイヤは重くて進まない」。汗をふきながら愉快そうだった。

 山口選手「大自然の中を走るのが僕は好きだし、本来は場所を選ばないのがMTB。凍結路をスパイクタイヤで走ると抵抗が大きくて、その分短距離でも効率良い練習になるんです。危険もあるけど変化に富んで楽しいし。僕オリジナルの地獄の特訓メニューです」。

 おお、そうなのか。めったに聞けない企業秘密だ。幸い昨年、東京・吉祥寺の「ビッグオーク」店でスパイクタイヤを買い置きしていた。こうなればプロのオフトレコースを試走して、仲間に吹聴してやろう。おやじ、いつもの癖が出た。

☆   ☆

 山口選手は佐賀県の出身だ。少年時代は家庭用自転車で裏山を登り、仲間とMTBごっこを楽しんでいたという。5年前にプロに転向、「大自然に恵まれた練習環境を求めて」元新聞社勤務のえみこ夫人とともに真田の里に移り住んだ。

 聞き出したコースはなるほどすごい。厳冬期は上州街道から左に折れて菅平に向かう林道菅平高原線を周回するが、状況がよければ真田から小諸へ下り、湯の丸峠を越えてから菅平経由で自宅へ戻るロングコースにも挑む。ハブ(車軸)やギアが凍り付くこともあるし、クマに出会うこともあるそうだ。

 夏は嬬恋から白根山を登り、須坂経由で130キロ。積算標高差3000メートルの山岳コースを6時間で回る。

 今回はその厳冬期コースを試走した。真田から高原道路への分岐点まで標高差500メートル約10キロを1時間。スパイクタイヤの抵抗感は想像以上におやじを苦しめた。雪を飛ばして迫力あったが、疲労もタイムもロードレース車の倍以上。おやじの脚力にはレベルが高すぎた。

 けれど、本当に不足したのはパワーではない。


白銀世界
写真=白銀世界を快走、気分は最高だったが

横滑りに突っ込む

 国道を左折すると一面の銀世界、傾斜が緩やかになって速度も出始めた。「これだ。この快感だ」。立ちこぎでダッシュした。落とし穴が待っていた。

 標高が1100メートルを超えた直後、いきなりタイヤが空転し始めた。国道とは路面温度も違うのだ。進まなければ自転車は倒れるしかない。ツツーッと横滑りして雪の中に突っ込んだ。その時点では笑いがあったが、再発進ができなくなって笑顔は凍った。

 力を込めて踏めば踏むほどタイヤは滑る。まるで漫画だ。ペダルを引き上げる「引き足」を使うとよけいに滑った。走りだせずにまた転び、雪の上で途方に暮れた。これが本当の行き(雪)倒れ、みっともなさの名誉の殿堂(転倒)だ。前進不能、行軍中止。

 平らな区間まで押していって乗り直す。空気圧を下げ、丁寧に丁寧に、足で真円を描くようにゆっくり回した。円周上のパワーを平均化すると、少し滑るが前には進んだ。その代わり極端なほどの集中力が一瞬ごとに要求された。カンニング中に試験官と目が合ったときの、あの圧迫感の連続だ。息が詰まった。山口選手が自ら作り求めた本当の地獄が、これだった。

☆   ☆

SRM
写真=SRMという最新システムで、科学トレにも打ち込む(東京都北区のアマンダ・スポーツで)

 量ではなく、質だった。

 山口選手「無駄なパワーをかけるとスリップするので、ごまかしが利かない点が特徴なんです。ひとこぎひとこぎ、正確なペダリングが要求される。それに応える高い集中力を持続するのは地獄ですが、裏を返せば試合で泥や岩のコースを無駄なく駆け抜ける、最高の実戦練習になるんです」。

 白銀の求道者。

 プロの常用は1分間80〜110回転。6時間で約3万6000回。その1回転ずつすべてに集中し、魂を込めてこぐ。ガリッ、ゴリッという音を聞きながら、「もっと速く、もっと正確に」と、孤独な雪道を走るのだ。果てしない体力と集中力の限界地獄を、人は知らない。プロは語らない。

 山口選手「でも、まだまだなんです。今季からSRMという欧州生まれのペダリング分析マシンで科学トレに取り組み始めたら、いいと思っていた部分がデータ的には全くなってなかった。6丁目ぐらいまで行ったはずの地獄が、3丁目に逆戻りした感じです」。

 コースだけまねしたおやじは、真冬地獄の1丁目で追い返された。仲間の失笑が目に浮かぶ。それでも記者席からでは絶対に分からない「スポーツの核心」に触れた思いに満足だった。

☆   ☆

 2時間後、山腹をたどって菅平に着いた。夏になればここもラグビー合宿の地獄になるのだが、厚い雪の布団に覆われて、その日は静かに冬眠していた。

 よし。次は、補助輪を付けてこよう。


◆山口孝徳(やまぐち・たかのり)1974年(昭和49年)2月28日、佐賀県鳥栖市生まれ。少年時代はロード種目でも活躍、00年プロ転向。01年から3年連続でMTBクロスカントリーのジャパン・シリーズ王者に。今季は22日の開幕戦(滋賀県)から戦闘開始。http://www.specg.com/


著者の言葉
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著者プロフィル
 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、58歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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