アイスホッケー女子で、スマイルジャパンの愛称を持つ世界ランキング6位の日本は、同3位で18年平昌五輪銅メダルのフィンランドに1-7で敗れ、4度目の五輪となった今大会も、初のメダル獲得はならなかった。

世界ランキング下位5カ国による、1次リーグB組を1位通過。同上位5カ国による1次リーグA組3位の強豪に挑んだが、1度もリードを奪えず力負けした。

男女を通じて初の決勝トーナメントに進出に続き、4強進出とメダル獲得への王手を狙ったが、4年後に持ち越しとなった。

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世界の壁は厚かった。3点差を追って迎えた第3ピリオド(P)開始18秒。日本は5点目を失った。追い上げムードをつくりたい、最終Pの出はなをくじかれると、ズルズルと失点を重ねた。試合前まで0勝3敗の強豪フィンランドに1-7。スピードと多彩な攻撃に圧倒され、完敗した。主将のFW大沢は「ここまで来たら、ベスト4、メダルというところまで行きたかったし、行けると自信を持ってやってきていた。本当に悔しい」と唇をかんだ。

第1Pの開始4分余りで2点を失った。飯塚監督は「フィンランドのプレースピードに圧倒され、ついて行けないところがあった」と話した。ロースコアの接戦で終盤に持ち込みたい、当初のプランが崩れたという。第1P15分、FW志賀紅が、昨年の世界選手権最優秀GKケイサラの股下を抜き1-2としたが、得点はこの1点だけだった。

第3P12分過ぎには守護神のGK藤本那菜が、体を張って守り続けた代償から負傷を抱えて交代した。藤本は20年までスウェーデンリーグでプレーしたが、コロナ禍で、その後は代表活動を優先するため帰国。チームに所属せず個人で強化してきた。札幌市内の実家に設けられた、特設練習場や市内のリンクを借り、元日本代表で妹の奈千さんと姉妹で練習に明け暮れていた。今大会は1次リーグB組4戦を終えて藤本のセーブ率は95・33%。高いシュートストップで日本の初の準々決勝進出に貢献した。

だからこそ相手FWニエミネンにハットトリック完成となる3点目許した、最終第3P開始18秒の5失点目のダメージは、藤本にも日本にも大きく響いた。第3Pは反撃ムードが消滅した。それでも出場4度目の五輪は過去最多の3勝。14年ソチ五輪5戦全敗、18年平昌五輪2勝から、着実に階段を上っている。試合後に大沢主将がフィンランドの選手に言われた。「すごく日本はいいチーム。誇りを持ってね」。4年後のさらなる成長を、他ならぬ、再びメダルを争うであろうライバルが確信していた。

日本代表女子に共通する強み「競技のために」8強進出スマイルジャパンのひたむきさを支えた思い>>