アイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」の北京大会が終わった。準々決勝で強豪フィンランドに挑み、1-7で完敗。それでも、最後までゴールを目指して果敢に攻め続ける姿には、目を奪われた。

今大会の日本は、十分に活躍した。開会式前日に過去2大会の初戦で敗れたスウェーデンに快勝し。3勝で決勝トーナメントに進んだ。「メダル獲得のために1次リーグ首位通過」という最低限の青写真は、しっかり実現してみせた。

攻守にわたって組織で動く連動性、積極的な守備から素早く攻撃に転じる俊敏性、試合終了まで走り続ける運動量…。チームスポーツの日本代表、特に女子に共通する「強み」のように思う。

昨年の東京五輪で銀メダルを獲得した女子バスケットボールの「アカツキ・ファイブ」も、11年W杯で優勝した女子サッカーの「なでしこジャパン」も同じだった。個々の体格差、パワーの差を補うため、連動性を高め、運動量を培った。

ひたむきさを支えているのは「競技のために」というモチベーションだ。サッカーも、バスケットボールも、女子の競技環境は男子と比べて恵まれていない。アイスホッケー選手たちもアルバイトをしながら苦労して競技を続ける。だからこそ「注目されて、環境をよくしたい」と考える。

何より、後に続く子供たちのために。環境がよくなければ、子供たちが競技を続けられない。競技の未来のために、注目されて「子供たちの目標になること」が願い。サッカーもバスケットボールも、その思いが選手を突き動かしてきた。

個人競技と違って代表チームが急激に強くなることはない(一瞬だけ輝くことはあるが)。サッカーは2大会ぶりに出場した04年アテネ五輪で準々決勝進出、08年北京五輪の4位を経て11年W杯で優勝した。バスケットボールも3大会ぶりに出場した16年リオ五輪で準々決勝進出。ホーバス監督に率いられた東京五輪で悲願のメダルを手にした。

女子アイスホッケーも14年ソチ五輪で初めて予選を突破して出場。以来、少しずつ世界に近づき、追いついてきた。下位リーグで首位になった今大会で「メダル」に1歩近づいた。少しずつでも、確実に前進している。メダルへ、そして世界一へ、笑顔を忘れずに走り続けていけば、いずれは花が開く。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIのOh! Olympic」)

日本対フィンランド フィンランドに敗れあいさつする日本の選手たち(撮影・垰建太)
日本対フィンランド フィンランドに敗れあいさつする日本の選手たち(撮影・垰建太)