2大会連続銀メダルの平野歩夢(TOKIOインカラミ)が3度目の挑戦で金メダルをつかんだ。1回目から超大技トリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)を成功させ、3回目で96・00をマーク。逆転で初優勝を果たした。

東京五輪にスケートボードで挑戦している間に、スノーボード界の主流は、スイッチバックサイド(逆スタンスで背中方向に踏み切る高難度のエア)になっていた。北京を目指すにあたり、得点が出やすい技を行わず、なぜトリプルコークの完成を目指したのか。

「スイッチバックサイドはそもそもやるつもりなくて、今回はみんなやるなら、そうじゃない方に勝負をかけにいきたかった。前回でもスコッティ(・ジェームス)がやってる技で、そこに乗っかりたくなかった。自分はスイッチを使わない技で圧倒したかった。自分にしかできないルーティンを、東京終わってからもそればかり考えてて、それが、今日イメージしていたことは、自分だけのものは出し切れたのかな」。

言葉には自負がにじんだ。

「トリプルコークも誰もやってなかった。最初にやること、みせることも、他の人がやってないのでヒントがないので、正解もない。最初は難しいかなとおもったんですけど、このトリプルコークが生まれたことで時代もまた変われたんじゃないかなと思います」。

他選手は新技に目を見張り、誰もが挑戦していく。また新たな時代をけん引するような、この日の超大技だった。

【スノボハーフパイプ】逆転金!平野歩夢のカッコ良さ 引退ショーン・ホワイト涙4位/写真特集>>

◆トルプルコーク1440 斜め軸に縦3回転、横4回転する大技。技名にある「トリプル」は縦に3回転することを指す。「コーク」とはコルクスクリューの略で、コルク用の栓抜きのように、らせん状に渦を巻く回転形式であることに由来。1440は回転数(360×4)を意味する。昨年12月のデュー・ツアーで、平野歩夢が公式戦では世界で初めて成功させた。