パラ陸上の日本選手権が10、11日に東京・駒沢陸上競技場で行われる。日刊スポーツでは注目選手を「挑戦者たち」と題して、紹介する。女子100メートル(T47=片前腕切断など)元日本記録保持者の三須穂乃香(19=日体大)が、やり投げに挑戦する。20年東京パラリンピックでのメダル獲得に向けて、未経験種目で勝負に出る。

 可能性を信じて-。右手に約250グラムの義手を装着。三須は100メートルで鍛え上げた助走を生かして左腕を振り切る。やりの滞空時間は短く記録は13メートル前後。「無謀かもしれないけど、やってみないと分からない。やりで結果を残したい」と前を向いた。

 15年7月の日本選手権100メートルに初出場で13秒11の日本記録(当時)を樹立し、世界選手権代表となった。昨年4月、日体大陸上部に入部したが、伸び悩んだ。同9月、投てきの才能を見いだした水野洋子監督からやり投げ転向を打診された。迷いもあったが「やります」と返答。今年2月から短距離の傍ら、やり投げの練習も始めた。最初は10メートルも投げられなかったが、力の伝え方や角度を考えるようになって徐々に記録が伸びた。先月の大分パラではF46クラスで自己ベストの14メートル52をマークした。

 日本選手権では15メートルを目指し、20年までにはパラリンピックのメダル圏内となる40メートル超えを目標とする。地元の新潟産コシヒカリが好物で、現在は体脂肪を減らして筋力アップするやり投げ仕様の肉体強化に励む。「コシヒカリのように粘り強い選手になりたい。1年間で9メートルずつ伸ばして、3年後は出場ではなく、表彰台を狙う」と力を込めた。【峯岸佑樹】

 ◆三須穂乃香(みす・ほのか)1998年(平10)2月11日、新潟県生まれ。村上高3年の時、パラ陸上を本格的に開始。15年7月の日本選手権で100メートル13秒11の日本記録を樹立。同10月のドーハ世界選手権では準決勝敗退。昨年4月、日体大に入学。趣味は料理。好きな歌手はGENERATIONS。家族構成は両親、妹。157センチ。血液型B。