男子5000メートル(車いすT54)決勝では渡辺勝(25=凸版印刷)が11分30秒26で優勝した。

 最後の直線で抜け出したのは渡辺だった。「結構風が強かったからコーナーでみんなアウトにふくらんでいた。それでイン側にチャンスがあると狙っていました」。内側に入った最後のコーナーで他の選手に囲まれたが「完全に直線に入ったところでスパートしました」と冷静だった。

 昨年のパラリンピック代表落選を転機に競技生活のすべてを見直した。「怖くて手をつけられなかったところも今なら思い切って変更できる」と、競技用車いすなどの用具や練習内容を変えた。トラック練習では自転車で伴走してもらい、自分が出せないスピードでスプリント力を磨いた。

 その成果が今年になって表れた。2月の東京マラソンではリオ大会の金メダリストのマルセル・フグを接戦で制して優勝。「長距離ではレース展開が重要。最後まで走りきって勝負に絡める力を付けることに注力してきた」。世界選手権では1500メートルと5000メートルの2種目メダルを目指す。【宮崎恵理】