日本が3人で戦うチーム(脳性まひBC1-2)でタイを5-5からのタイブレーク(2-0)で破り、18日の第1戦黒星の雪辱を果たした。

 杉村英孝(35=静岡ボッチャ協会)広瀬隆喜(33=西尾レントオール)藤井友里子(44=富山ボッチャクラブ)のメンバーでスタート。先行したが逆転され、追いついては勝ち越される緊迫した展開の中、第4エンドからは若手のホープ中村拓海(19=伊丹ボッチャクラブ)を藤井に代えてコートに送った。

 まさにミリ単位の戦い。第5エンドに4-4と再び追いつき、最終第6エンドは日本の赤、タイの青いボールが目標のジャックボールを挟みこむようにピタリとくっついた。審判が特別な計測器を使っても優劣がつかず、両チームに1点ずつが与えられた。

 タイブレークでは世界王者タイにミスが続き、中村の連続投球に続いたエース広瀬が、精密機械のようなコントロールで“ウイニングショット”。その後もタイがミスを重ねて勝利をつかみ取った。

 タイブレークで雄たけびをあげた広瀬は「相手が攻めにくいところにボールを置けた。イメージ通りで思わずほえてしまいました」を勝利を決めた1投を振り返った。第1戦はミスが目立って2-7と完敗したが、1日で修正。全員が正確な投球で失点を防ぎ、かつチャンスを確実に生かして食らいついた。

 リオデジャネイロ・パラリンピックの決勝カード。世界ランキング1位と2位の頂上決戦だった。これで今年はタイと4試合戦って2勝2敗。主将の杉村は「以前は大差で負けるイメージばかりでしたが、(今年の成績を)自信にしてこれからも隙を見せない今日のような試合展開を目指したい」と、タイに肉薄していることを実感した様子だった。

 大会2日間で1000人を超える観客が会場に足を運んだ。日本は運動機障害のペア2種目を含めて第1日から5連敗も、最後の最後で白星をつかみ取った。「多くの人に試合を見てもらえてよかったです。これからも強化を積み上げていきたい」と藤井。広瀬も「リオでは銀で終わった。これからもっとレベルを上げて、東京では輝くメダル、金を取りたい」と力強く言った。

 チームで日本とタイは1勝1敗で並んだが、2試合の獲得エンド数の差でタイが優勝を決めた。

 ◆ボッチャ ジャックボール(目標の白いボール)に向かって赤と青のボールを1エンドで6球ずつ、投げたり、転がしたり、他のボールにぶつけたりしながら、自分のボールを目標に数多く近づけることで得点を争う。ジャックボールは各エンド交互に投げる。カーリングに似ているが、目標のジャックボールが移動することが最大の違い。重度の脳性まひ者、同程度の四肢運動機能障がい者のために欧州で考案された。男女の区別はなく、BC1から4まで4つのクラスに分かれて個人、団体戦(2対2のペア、3対3のチーム)が行われる。チームは6エンド制。【小堀泰男】