女子走り幅跳び(切断などT63)で前川楓(20=チームKAITEKI)が自らのアジア、日本記録を更新する4メートル05をマークして優勝した。今季初戦だった3月のドバイGPで跳んだ3メートル99を6センチ上回り、初めて4メートル台に到達した。

 「うれしいというより、ホッとした感じです。5月に健常者の大会で4メートル05を跳んだんですが、その時は追い風参考だったので」。前川は笑顔でこの日の跳躍を振り返った。いきなり3連続ファウル。踏み切りのタイミングが合わずに苦労したが、4回目で修正に成功すると続く5回目にレコードジャンプを披露した。

 16年リオデジャネイロ・パラリンピックで4位に入賞し、昨年7月のロンドン世界選手権では銀メダルを獲得した。着実にステップアップを続けるジャンパーは、昨年から今年にかけて減量に取り組んだ。筋力トレーニングと食事の管理で56キロから48キロに8キロ減。体幹を中心に筋力をつけながら脂肪をそぎ落とし、世界のトップと戦うためのボディーが完成した。

 軽量化とともに助走のスピードアップにも取り組み、今年2度目のアジア記録更新。10月にはジャカルタ・アジアパラが行われるが「今年中に4メートル30を跳ぶのが目標です」。世界と争うには4メートル80以上が必要だけに、前川は勝利より記録にこだわっている。【小堀泰男】