女子SL4(下肢障がい)で藤野遼(23=福岡大)がベスト4に進んだ。1次リーグ2試合目でビーノ(オーストラリア)に2-0

(21-7、21-10)で快勝し、2連勝でベスト8進出が決定。続いて行われる予定だった決勝トーナメント初戦の準々決勝は相手のジョティ(インド)棄権し、運も味方につけて勝ち上がった。

「予選(1次リーグ)では力の差がある相手に合わせてしまってミスが多すぎました。コーチからも『引きずられるな』と言われたんですが…」と藤野は苦笑い。初めてプレーする東京パラリンピック会場の代々木第1についても「広くて天井も高くて、ちょっとやりにくい感じかな」と少しだけ表情を曇らせた。

脳性まひで脚と右手に障がいがある。6歳からバドミントンを始めたが、福岡市立百道中、福岡大若葉高、福岡大を通じて健常者と一緒にプレーしてきた。パラ選手としては高校時代にアジアユースパラ、アジアパラに出場した程度。しかし、今年から大学の理解もあってパラの大会に専念できている。

8月の世界選手権でベスト8に勝ち上がった。9月のタイ国際では優勝するなど、世界を転戦する国際大会でも春から上位にの常連になり、東京パラリンピック出場ランキングでも4位につけている。SL4の女子日本代表は藤野1人だけ。「期待の星? そうなんですかね。もっと楽しくプレーしたいんですけど」。拾って拾って逆襲に転じるサウスポーは、周囲の期待や重圧とも戦いながら、東京パラ出場を目指している。

東京パラランキング3位の程和芳(中国)とは高校時代からのライバルで友人でもあるが、今年になって4連敗中。「高2のアジアユースパラでは勝ったんですが、その後はどんどん強くなって…。彼女に勝ちたいですね」。今大会、別ブロックに入った程と戦うならば決勝しかない。その前に東京パラランキング2位の強敵サグエイ(ノルウェー)と準決勝で対戦する。【小堀泰男】