パラ競泳の16年リオデジャネイロ・パラリンピック女子日本代表・池愛里(21=近大)が27日までに自身のツイッター、インスタグラムを更新し、うつ病の治療に専念するために現役引退することを表明した。

「今後の人生におきまして水泳から離れ、競技を引退する決断をさせていただきました。(中略)どんなに楽しいこと嬉しいことがあっても死にたいという気持ちが一瞬たりとも頭から離れることがありませんでした。それは今もです。薬がないと正常を保てない状態です」

池は東京成徳大高在学中のリオ・パラリンピックでリレーを含めた7種目に出場。17年春に日体大に進学し、178センチの長身を生かしたダイナミックな泳ぎで東京パラリンピックではメダルも期待されていた。

しかし、昨年7月に自転車で走行中に車にはねられて右足を負傷するなど、骨折と全身打撲で全治2カ月の重傷を負った。8月には声が出せなくなり、心因性失声症、重度のうつ病と診断されていた。その後少しずつ再起へ動き始め、大阪に拠点を移して近大で練習を積んでいた。

小学3年生のときに左大腿(だいたい)滑膜肉腫にかかり、抗がん剤治療後に腫瘍摘出手術を受け、左足首にまひが残った。リハビリの一環として始めた競泳で日本のトップスイマーに成長。14、18年アジアパラ大会、15年世界選手権などでも代表として活躍した。

「目が覚めて気がついたら包丁を持ち自分を刺そうとしていたことが何度もありました。死にたいという気持ちが抑えられないのです」「私と同じように生きていて苦しい人に、届いて欲しいと思い、全てを伝えさせていただきました」

池はこの1年間の闘病の苦しみを赤裸々に明かし、東京を前に引退を決意したことを周囲の人々に謝罪した。今後は医師の指示に従って治療に専念し、新しい人生を歩んでいくという。