男子PTS4(運動機能障がい)クラスで東京パラリンピック出場を目指す宇田秀生(34=NTT東日本・NTT西日本)が、1時間5分58秒で同クラス1位に入った。

半年ぶりのレースに臨んだ宇田はゴール後に胸をたたき、ガッツポーズした。「出場する同じカテゴリーの選手3人のことを意識せず、自分のパフォーマンスにフォーカスできた」。充実の表情を浮かべながら振り返った。

「スイム、バイク、ラン共に1年間積み上げてきたことを出せた」と語るように、スイム終了後には既に同クラス首位につけた。その後、後続を引き離し、2位以下に約7分以上差をつけてフィニッシュ。試合勘の不足からスイムとバイクのトランジットで少し戸惑ったというものの、実戦経験が積めたことを評価した。

大学卒業後の2013年、仕事中の事故で利き腕の右腕を切断。半年後にリハビリの延長で競技に出会った。15年にデビュー。滋賀県選抜に選ばれるほどの腕前だったサッカーで鍛えた脚力と体幹を生かし、すぐにトップ選手に上り詰めた。男子PTS4の国際ランキングでは現在4位に付け、東京パラでもメダル獲得を期待される1人だ。

昨年には東京五輪出場を目指す古谷純平ら健常者の国内トップ選手らと沖縄で長期合宿を行った。「圧倒的に自分よりパフォーマンスが上の選手とやることで、嫌でも自分の実力を直視した。何をやるよりも、誰とやるかの重要性を知りました」。昨年10月にポルトガルで行われたW杯以来の実戦の場で、周囲に自分がやってきた成果を見せつけた。

東京パラについて宇田は「身近で支えてくれた人たちのために僕が良い結果を出して恩返ししていきたい」。焦点に定める来月15日横浜市での世界シリーズに向けて弾みをつけた。【平山連】

◆パラリンピックのトライアスロン代表選考 19年6月28日から今年7月15日までの国際大会成績によるポイントランキングで東京大会出場枠が決まる予定。男女各4種目でランキング9位以内に入れば、1カ国・地域につき最多2つの出場枠が与えられる。日本には出場枠を獲得できなかった場合、開催国枠が用意されている。