【三宅星南〈上〉】同世代みな心射貫かれた高橋大輔「白鳥の湖」 憧れと同じ環境で

日刊スポーツ・プレミアムでは、毎週月曜日にフィギュアスケーターのルーツや支える人の思いに迫る「氷現者」をお届けしています。

シリーズ第17弾は22年4大陸選手権4位の三宅星南(21)が登場します。

第1回は、競技を始めた幼稚園時代から、仲間とともに歩んだジュニア時代までを振り返ります。(敬称略)

フィギュア

   

三宅星南(みやけ・せな)

2002年(平14)3月26日、岡山・矢掛町生まれ。5歳で競技を始め、14年には全日本ノービス選手権優勝。全日本選手権では、初出場の16年に9位で新人賞を獲得。高橋大輔を指導した長光歌子コーチに師事し、昨年4大陸選手権では4位に入った。趣味は、サッカー観戦、アニメ鑑賞、モータースポーツ鑑賞。父親がF1を好きで、名前もF1レーサー、故アイルトン・セナさんからとられた。

14年NHK杯のエキシビションで滑る三宅星南。当時12歳

14年NHK杯のエキシビションで滑る三宅星南。当時12歳

5歳の「爆発」 高橋、田中刑事輩出した倉敷FSCへ

岡山県南西部に位置する矢掛町。人口約1万6000人からなるのどかな町で、ひとり黙々とLEGOブロックを組み立てる少年がいた。

手順を見ながら、自分好みのかっこいい船艦を作る。完成を見てにやり。作品を舞台にオリジナルのストーリーを繰り広げることも好きで、LEGOの人形に「これは船長で、これは…」などと配役を割り振り、自分の世界に浸っていた。

共働きの家庭。母・幹子はバレエ教室を受け持ちながら、先にスケートを始めていた1つ年上の姉・乃愛(のあ)の送り迎えも担当。家を空けることが多く、幼稚園が終わると、自宅から徒歩圏内の祖母の家に預けられ、おとなしくひとり遊びをしながら迎えを待っていた。

手がかからない子。周囲からはそう見られ、大人に心配をかけることも少なかった。だが、あるとき。突然、何の前触れもなく気持ちがあふれ出した。

「どっかのタイミングで感情が爆発しちゃったんです。『僕もスケートしたい!』って(笑い)」。

当時5歳。この「爆発」を機に、スケート人生に足を踏み入れることとなった。

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スポーツ

竹本穂乃加Honoka Takemoto

Osaka

大阪府泉大津市出身。2022年4月入社。
マスコミ就職を目指して大学で上京するも、卒業後、大阪に舞い戻る。同年5月からスポーツ、芸能などを取材。