今年のG1も、この寛仁親王牌を含めて残り2つとなった。賞金争いは4位の清水裕友以下が混戦となっている。10位前後の選手でも親王牌、競輪祭と表彰台に上がれば年末のグランプリに出場できる。競輪が一番面白い季節に入ってきた。

ヤマコウは特選11Rの地元諸橋愛に注目
ヤマコウは特選11Rの地元諸橋愛に注目

今回、地元で結果を残したいのは諸橋愛と鈴木庸之だ。特に諸橋は過去にS級S班も経験し、ここに懸ける意気込みは相当なものだろう。今年4月の四日市G3を優勝した時は「仕上がるのがちょっと早いかな」と言っていた。まさしくその通りで、先月の久留米G3(熊本代替)の1着は、6月以来の勝利だった。四日市を制した時は、地元で親王牌、京王閣日本選手権(ダービー)もあるので、相当な覚悟で今年に懸けていたと思う。しかし、ダービーの結果は“もらい落車”で幕を閉じる。その後も落車は続き、精神的にもきつかっただろう。乗車フォームも自転車が自分の思うように進まないので、力みが伝わってきた。

久留米G3準決は、上田尭弥の先行を平原康多が2角まくりで仕留めた。その平原を諸橋が差したわけだが、この一戦で、落車で苦しんだ2人の流れが変わったように感じた。その証拠に、決勝での関東2人は落車に巻き込まれなかった。レース後の平原のコメントも「巻き込まれなかったので流れが変わったと思う」と手応えを感じていた。

流れが変わる節目を感じる力がないと自信にはつながらない。諸橋は4カ月ぶりの1着と平原の2角まくりを差せたことなど好材料がそろった。特選11Rは新山響平を目標に、展開も味方すると思う。(日刊スポーツ評論家)