前橋地方は秋晴れだったが、ドームなのでその心地よさを感じることはない。何か損をしたような気持ちの1日だった。
この大会で佐々木龍を見ると、彼が18年に初出場した時の姿を思い出す。あの頃はまだ自分の戦法が定まらず、何をしていいのか模索していた。
中団を取るのはできるが、そこからの打開策がなく、後半2日間は無理して先行して7、8着。初めての大舞台は苦い経験に終わった。
元気がなかった佐々木に、「無理な先行するより持ち味(さばき)を生かした方がいい」と言ったことがある。あれから7年。1予8Rでは強敵相手に塩島嵩一朗マークから1着を取り、すっかり勝負師の顔になった。
ここまでの地位を築いたのは、番手にこだわってきたからだ。番手勝負とは位置を巡る格闘である。この基本ができていないと、肝心な場面で強い選手の番手を回ることができない。
初戦を終えて「塩島君がいい仕掛けをしてくれました」とコメントは終始冷静だった。その言葉の奥には、マーク選手の誇りと「まだ勝負はこれから」という自信が感じられた。
彼のような地足タイプは何度も壁にぶち当たる。その度にクリアし、ヨコの強さを磨いてきた。自力選手が自力で勝負するように、追い込み選手にも勝負が必要だ。それがなくて、点数上位というだけで前を回ろうとするのが、今の追い込み陣の地位を下げている。
2予A・10Rは青野将大の後ろだ。新山響平の主導権が濃厚だが、何とか打開してほしい。(日刊スポーツ評論家)























