今年大活躍の神奈川支部から、また1人逸材が現れた。塩島嵩一朗(24)は高校時代にインターハイのケイリンで優勝した実績を持ち、大学でも自転車競技で活躍。養成所でも優秀な成績で在所5位で卒業した。違う道で挫折し、遠回りして競輪選手となった男は、自転車で食っていくと覚悟を決めた。
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■きっかけは釣り
自転車との出会いは意外なところからだった。中学生のころ、趣味の釣りに行くために買ってもらったロードバイク。横浜市の自宅から、片道約25キロの江ノ島などに向けて乗り込むうちに、面白さが芽生えた。
競技として始めたのは高校入学後。「母が鹿児島出身で、いい環境があると教えてもらった」と、名門・南大隅高校に進学した。厳しい環境で鍛えられ、高3のインターハイではケイリンで優勝。ただ、自身の進路に競輪選手はなかった。
■ボートから転身
「自転車でいい大学に行って、いいところに就職したい」。推薦で明大に進み、自転車競技でも実績を残したが、卒業後に選んだのはボートレーサーだった。「背も高くなく、体格もいい方ではない。感性や体の使い方で勝負できるのは自分に向いてると思った」。132期の試験に一発合格。しかし、入所後すぐにトラブルが発生した。「減量で体を壊して摂食障害になった」。51キロまで落とした体重は、食事制限をしても増え続けた。1週間で55キロまで戻り、体重制限のあるボート選手は断念した。
あっけなく夢を諦めることになったが、切り替えは早かった。「ボートやめる時に、もう競輪しかないなと思った」。125期の試験まで5カ月。練習環境の整った鹿児島に戻り、トレーニングに励んだ。そして無事に合格し、競輪選手への道を歩んできた。
■神奈川支部に逸材
選手登録の際に選んだのは、生まれ育った神奈川。今年のG1覇者である郡司浩平と北井佑季がいて、師匠の小原太樹は先日の寛仁親王牌で決勝進出と勢いがある。鹿児島に負けない練習環境の良さで、確実に力をつけている。8月の落車で鎖骨を骨折しても、「いい経験でした」と挫折することはなかった。「自分に向いているし、楽しい。いずれは強い神奈川の先輩の前で走りたいし、早くS級に行けるように頑張ります」。遠回りはしたが、天職にたどり着いた。自慢のダッシュ力を磨き続ければ、ビッグタイトルを釣り上げる日は遠くない。
◆塩島嵩一朗(しおじま・しゅういちろう)2000年(平12)1月12日、横浜市生まれ。明大卒。競輪選手養成所125期生として富山ルーキーシリーズでデビュー(543)。通算成績は25戦14勝。通算獲得賞金は377万2800円(成績は29日現在)。166センチ、70キロ。血液型B。現在2場所連続完全優勝中で、11月4日からの青森で特昇にチャレンジ。





















