新潟MF加藤大(24)の正確なキックが、降格危機にあるチームを上昇気流に乗せようとしている。16日の清水戦でFW指宿のゴールをCKで演出しリーグ3位の8アシスト目をマーク。第2ステージ(S)に限れば5アシストでリーグ最多だ。スタメンに定着したのは第1S終盤の15節。今季出場時間は986分と規定(1104分)未満ながら、正確なキックで年間アシスト王も射程にとらえる。

 プロ6年目を迎える左利きの攻撃的MF。持ち味の高精度のパスで味方を走らせるだけでなく、自らも走り続ける。Jリーグ発表のトラッキングデータによると、試合別の走行距離ランキング10傑に最多4度もランクイン。7月11日の鹿島戦では13・96キロを走り、気温25・4度、湿度61%の暑さにもかかわらず今季の1試合個人最長を記録した。

 8アシストの内訳はクロス4、スルーパス1、CK1、その他2とクロスからが多く、そのアシストから最も得点を決めているのが指宿で4点。運動量豊富なレフティーの先発定着とともに、195センチの長身FWもゴール前で生きるようになった。昨季までJ1通算12試合で得点とアシストともになかったMFが一気に台頭。チームは年間15位と降格危機にあるが、その存在は浮上へのキーマンとなりそうだ。

 ◆走行距離メモ 加藤が7月の鹿島戦で記録した13・96キロというのは、昨年7月のW杯決勝ドイツ戦でアルゼンチンMFマスケラーノが120分間で記録した14・04キロとほぼ同じ数値。加藤はそれを90分間でたたき出したことになる。当時のマスケラーノは「これ以上できないくらい頑張った」と、守備的MFとして相手攻撃陣をつぶし続けた。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)