サッカー日本代表はワールドカップ(W杯)カタール大会アジア最終予選で7日(日本時間8日午前2時)に敵地でサウジアラビアと対戦する。6度目のW杯出場を狙う中東の古豪はどんなチームなのか? 「強み」と「弱み」に分けて分析検証した。第1回は日本が警戒すべき相手の強み。

   ◇   ◇

サウジアラビアは最終予選で開幕2連勝と好スタートを切った。W杯本大会での指揮経験もあるフランス人のルナール監督(53)の下、メンバー全員が国内組で「戦術の浸透なども、とても有利に働く。それに視察もしやすい」と現在の日本代表にはないメリットを強調。自慢のポゼッションサッカーに磨きをかける。

アジアサッカー連盟(AFC)のデータによると、最終予選初戦のベトナム戦は72・2%、2戦目のオマーン戦でも60・5%という高いボール保持率を記録した。勝手知ったるメンバーで連係を深め、その戦い方にブレは見られない。

特徴的なのが両サイドバックのプレー位置。一方が上がれば、逆は下がるという、いわゆる「つるべの動き」はあまり見られない。右サイドバックのDFガナム(27=アルナスル)と左サイドバックのDFシャハラニ(29=アルヒラル)が2人そろって積極的に攻め上がり、両サイドから質の高いクロスをゴール前に何度も供給する。

ベトナム戦での後半22分の勝ち越しゴールは象徴的。右からのガナムのクロスを、左から攻め上がったシャハラニがヘディングで決めた。2人とも身長170センチ前半と小柄で俊敏。そうした機動力は日本本来の武器ではあるが、まずはサイドの攻防で後手に回るわけにはいかない。

日本は19年1月にアジア杯で対戦。前半20分に冨安が柴崎のCKを頭で決めて1-0で競り勝った。ただ、ボール保持率は日本24%-サウジ76%と一方的。日本はセットプレーからの1点を粘り強く守ったが、終始守勢でカウンター攻撃も機能しなかった。

そのUAEでのアジア杯以来となる今回の対戦は「完全アウェー」。コロナ禍ながら、スタジアムの収容人数の60%の入場が可能なようで、反町康治技術委員長は「スタジアム(収容人数)は5万人。残念ながら完全アウェーの形になる」と話していた。約3万人の圧を受けるであろうアウェーのサウジアラビアは過去2戦2敗。ボール保持率で劣る可能性も高く、厳しい戦いが予想される。【石川秀和】

2018年W杯にも出場したサウジアラビアのシャハラニ(右)
2018年W杯にも出場したサウジアラビアのシャハラニ(右)