サンフレッチェ広島が、いわば「自給自足」で快進撃を続けている。3連勝チーム同士の対戦だった8月27日のC大阪戦で3-0と快勝して今季2度目の4連勝で2位をキープした。チームの下部組織出身者などの「ホームグロウン(HG)選手」が7人先発。途中出場選手を含めると、今季のJ1で1試合1チーム最多となる9人が出場した。育成年代を広島ですごした選手はここまでの27試合で延べ194人が出場し、2番目に多い柏の135人を大幅に上回る。

今季就任のミヒャエル・スキッベ監督の下、これまでくすぶっていた広島育ちの選手が一気に台頭。期限付き移籍から今季復帰したMF野津田岳人(28)は東アジアE-1選手権で日本代表にも初選出された。MF松本泰志(24)は豊富な運動量でピッチを縦横無尽に駆け回り、プロ6年目で待望のJ1初得点。そこから3試合連続ゴール中と絶好調だ。

ユース出身で流通経大卒1年目のMF満田誠(23)は今季6得点8アシストと大ブレーク。GK大迫敬介(23)とDF荒木隼人(26)は安定感抜群のプレーでチームの守備を引き締める。ユースで満田と大迫と同期だったMF川村拓夢(23)は8月6日の鹿島戦でJ1初得点。「このクラブで取ることができて、すごくうれしい」と目を潤ませたのは印象的だった。

ユースチームは高校年代最高峰の大会である高円宮杯U-18プレミアリーグを最多3度制覇。他のJクラブに先駆けて地元の高校と連携して全寮制を導入した。日本代表クラスにまで成長した多くの選手が他クラブに引き抜かれたこともあったが、育成重視の方針は変わらない。今季は下部組織にも目を配るドイツ人指揮官を新たに迎え、広島育ちの生え抜きを中心に一体感のある戦いで7年ぶりのJ1優勝を目指している。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

◆ホームグロウン選手とは? 12歳の誕生日を迎える年度から21歳の誕生日を迎える年度までの期間において、特定のJクラブの第1種(一般、大学)第2種(高校生年代)第3または4種(中学生、小学生年代)チームに登録された期間(育成期間)の合計日数がJリーグの3シーズンに相当する990日以上の選手のこと。22年シーズンはJ1各クラブで4人の登録が義務づけられている。

<今季J1のホームグロウン選手の延べ出場数と得点数>

広 島 194(22得点)

柏  135(11得点)

札 幌 129(10得点)

磐 田 120(2得点)

鹿 島 110(19得点)

清 水 103(6得点)

京 都 95(5得点)

神 戸 90(1得点)

G大阪 86(4得点)

東 京 74(6得点)

湘 南 67(0得点)

C大阪 65(6得点)

福 岡 59(1得点)

浦 和 59(7得点)

横 浜 52(6得点)

川崎F 48(4得点)

名古屋 36(0得点)

鳥 栖 33(5得点)