J3愛媛FCがJ2昇格とJ3優勝に王手をかけている。11日の今治戦に勝てば、3シーズンぶりのJ2復帰が本拠地で決まり、その上で2位の鹿児島が同日のアウェー琉球戦に引き分け以下なら、3試合を残してJ3優勝が確定する。

「史上最強のタイトルコレクター」に、また栄誉が加わりそうだ。元日本代表の愛媛DF森脇良太(37)は今季J3リーグ戦23試合に出場。広島時代の08年にJ2で優勝し、12年にはJ1優勝の原動力になった。J1、J2、J3の全カテゴリーでタイトル獲得となれば、史上3人目の珍しいケースとなる。

過去にはMF岡本知剛とDF小池龍太が達成。岡本は08年にJ2広島で1試合のみの出場にとどまったが優勝メンバー入り。13年にはJ1を制し、18年にJ2松本、現役最終年の21年にJ3熊本でタイトルを獲得した。小池はJFLからステップアップし、15年にJ3山口、19年にJ2柏(シーズン途中にベルギーのロケレンに移籍)、22年にはJ1横浜の優勝に大きく貢献した。

今回の森脇は「個人昇格」を続けた小池のケースとは違い、実績のある経験豊富なベテランとして、かつてプレーしたJ2復帰を目指すチームに戻った。これまで数多くのタイトルを獲得してきた37歳DFの経験は大きく、ムードメーカーとしてピッチ外でもチームに欠かせない存在になっている。

日本代表では11年のアジア杯優勝。追加招集だったが、その存在がチームに一体感をもたらした。フィールド選手で唯一、出場機会がなかったものの、決勝弾を決めたFW李忠成、MVPのFW本田圭佑、全試合フルタイム出場のDF長友佑都らとともに堂々と誇らしげにアジア杯を掲げた。

J1浦和時代は16年のルヴァン杯、18年度の天皇杯を手にし、国内3冠を達成。17年にはアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を制した。J1が2ステージ制だった15年の第1ステージ、16年の第2ステージでも優勝した。

さらにさらに、広島ユース時代には日本クラブユース選手権、高円宮杯全日本ユース、Jユース杯と「ユース3冠」。個人の主要タイトルはないが、獲得できるほぼ全てのチームタイトルを手にしてきた。

いじられキャラとしてサポーターからも愛される優勝請負人。ここ最近は出場機会が減っているものの、誰よりも高々とJ3リーグ杯を掲げるはず。そしてブーイング(?)。プロ19年目、史上初のタイトル総なめなるか注目だ。【石川秀和】