守護神が再び立ち上がらなければアルビレックス新潟は負けていたかもしれない。

1-1で引き分けた16日のV・ファーレン長崎戦。GK阿部航斗(24)が絶体絶命のピンチで2本のビッグセーブを見せた。後半ロスタイム、相手の至近距離からのヘディングシュートを防ぐと、すぐに体勢を立て直して今度は左足シュートをブロック。チームは前半13分に先制し、同34分には相手に退場者が出て数的優位に立ったが、後半24分にセットプレーから失点。逆に猛攻を受けていた。

プロ2年目の阿部は今季開幕戦で初出場を果たし、ここまで24試合2160分間に出場。失点は20で1試合90分換算では0・83点となる。これはJリーグ発表のJ2GK通算防御率で、柏GK中村(現ポルティモネンセ)の0・69点、仙台GKシュミット(現シントトロイデン)の0・76点に次ぐ歴代3位に相当。規定出場時間が5400分以上のため、阿部はまだランク入りしていないが、0・83点は現在海外でプレーする日本代表経験者2人に次ぐ好数値だ。

後半5分には足首を負傷してピッチに倒れ込んだ。ベンチのGK藤田がアップを始め、交代するかと思われた。だが阿部は再び立ち上がってプレーを続行。漫画「スラムダンク」の主人公、桜木花道を思わせるその風貌。最後の最後まで勝利を目指し、アルビのゴールマウスを「死守」した。【石川秀和】

新潟GK阿部航斗(2021年6月5日撮影)
新潟GK阿部航斗(2021年6月5日撮影)