クロスの威力を増して帰ってきた。アルビレックス新潟新井直人(26)は守備的なポジションなら全てハイレベルでこなすが、最近は主にサイドバックでプレー。持ち味の対人の強さ、前線へのロングフィードだけでなく、左右を問わず、数多くのクロスを上げて好機を演出した。昨季はJ2徳島ヴォルティスでチーム最多の102本。新潟で最多だったMF松田の98本を上回る本数を記録した。

昨季の新井と新潟のクロス数上位
昨季の新井と新潟のクロス数上位

サイドバックのクロス攻撃はJ1で戦う上でポイントの1つになるかもしれない。その重要性は大いに盛り上がった昨年のワールドカップ(W杯)カタール大会でも強調された。FIFA(国際サッカー連盟)の技術研究グループの発表によると、クロスからの得点は18年ロシア大会の24点から45点に増加。高い得点力を持つセンターFWの存在とともに「クロスが完璧であれば、GKにできることはあまりない」と、その有効性が指摘された。

J3今治との練習試合(1月25日)でパスを出す新井(左)
J3今治との練習試合(1月25日)でパスを出す新井(左)

クレバーな新井のプレーはまさに世界のトレンド入り。新潟のサイドバックは左の堀米、右の藤原が不動で、渡辺、長谷川も控える。入団会見では「4人を意識して、お互いに良さを伸ばして競争していきたい」と話していた。センターバックでプレーする可能性もあるが、新井の加入で最終ラインの定位置争いは激しさを増す。その競争意識がチーム力をさらに高める。【石川秀和】