G大阪対鳥栖 前半、ドリブルでゴールに迫るG大阪FW宇佐美貴史(撮影・奥田泰也)
G大阪対鳥栖 前半、ドリブルでゴールに迫るG大阪FW宇佐美貴史(撮影・奥田泰也)

日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(55)がJ1残留争いの中で苦しむ古巣ガンバ大阪の試合を生観戦し、現状を解説した。

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勝利は7試合ぶりとなったG大阪だが、苦戦する理由は明確だった。宇佐美とパトリックの2トップによる連係らしい連係プレーは、前半で1本ぐらい。後半は皆無に等しい印象だった。2人は今夏にG大阪に復帰したばかり。この日で宇佐美は7試合目、パトリックは5試合目。実戦の数が足りていないのは分かるが、2トップが迫力を欠いては対戦相手にとってG大阪から怖さは感じない。

さらに求めたいのは、中盤の遠藤を加えた3人でトライアングルを作り、適度な距離を保ち、ダイレクトパスで崩すこと。そうなれば必然的に得点機が増えるし、勝利もつかめる。

この日の勝利の立役者は、渡辺の決勝点をアシストしたMFアデミウソンだ。体力消耗が激しい中で、後半途中から投入されてのゴール前のスピードは抜群だった。パスの出し手、受け手役もこなせ、得点能力も兼ね備えている。一人二役といった具合だ。2トップが仮に機能しない場合でも、切り札として期待できる。

実際にこの試合、6対4で鳥栖が有利だった。ここぞという場面でチーム全体で敵陣に押し寄せる鳥栖の集中力やあきらめない姿勢は、J1残留争いにいるとは思えなかった。

ただ、そんな中でもG大阪が少ない好機をつかんで勝った。だからサッカーは難しいし、奥が深い。G大阪の2トップの成熟はもう少し時間がかかるかもしれないだけに、終盤戦に向けてG大阪のキーマンにはアデミウソンを指名したい。(日刊スポーツ評論家)

G大阪対鳥栖  鳥栖に勝利したG大阪イレブンは笑顔で引き揚げる(撮影・奥田泰也)
G大阪対鳥栖  鳥栖に勝利したG大阪イレブンは笑顔で引き揚げる(撮影・奥田泰也)