J2アビスパ福岡の井原正巳監督(50)が来季も指揮を執ることになった。

 12月14日の会見では課題の攻撃力アップを掲げた。

 今季J2の1位タイの36失点だった堅守を武器に、来季は堅守速攻に磨きをかけてもらいたい。

 ただ気になるのは、今季も課題だった攻撃力を重視した編成が実を結ばなかったことだ。MF山瀬功治(36)やFW松田力(26)らの加入で攻撃のバリエーションは確かに増えた。だが最後はやはりFWウェリントン(29)頼みとなってしまった感は否めない。クラブは今季、16年のJ1並の選手年俸を維持し1年でのJ1復帰に勝負をかけた。しかしクラブが目指したJ2優勝どころか、リーグ戦終盤の失速で自動昇格を逃し昇格プレーオフ(PO)決勝で敗退。課題は徹底検証されているであろうから来季、井原監督が3年間で培った「井原イズム」がどう花開くのか楽しみである。

 とは言え、元日本代表DF指揮官らしい采配は随所に見られた今季であった。被シュート数がリーグ1位の323本。J1昇格を決めた15年の398本(13位)と比べても格段の向上だ。今季採用した3ボランチも成果につながった。攻撃にどうつなげるかが井原監督の手腕の見せどころだ。

 クラブは今季、選手のコンディションづくりのため風呂場をお湯と水に交互につかれる交代浴使用に改修、練習後に簡単な食事が取れるケータリングを行うなどサポートしてきた。昇格はならなかったが、将来に生きる試みだったに違いない。

 川森敬史社長(52)は福岡の将来について「福岡はアジアの玄関口の元気なまち。そういうまちに恥じない強いクラブを通じてアジアに福岡を知ってもらうきっかけにしたい」と意気込む。さらには「日本の次はアジア。だからそれはACLですよね。何言ってるのと言われるかもしれないけど、そういう目標は高く持たないと選手もサポーターもおもしろくない。そこは高みに向かって行くということです」と、J1復帰も見据えたビジョンを描いている。井原監督にとっても勝負の4年目になりそうだ。【菊川光一】


 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。