今年6月のW杯ロシア大会出場を目指すDF長友佑都(31)が、セリエAインテルからトルコ1部ガラタサライへ移籍しました。すぐに先発出場しリーグ首位浮上に貢献する順応ぶり。ベテランの域に入った31歳は、すでに赤と黄色のユニホーム姿が自然になりつつあります。トルコリーグはがつがつ突破を仕掛けるパワーあふれるサッカーが特徴。長友もデビュー戦後「特に縦のスピードがすごく速い。今後気をつけないといけない」と印象を語っていました。

 長友を追って向かったガラタサライの本拠地イスタンブールは、アジアとヨーロッパの中間点らしく、文化が入り交じった都市です。海峡を境とした大きな2つの市街地に分かれ、片方は巨大なモスクが立ち並ぶイスラムの雰囲気。かたや、約200メートルの橋を渡った反対側は欧風の建物が規則正しく並び、おしゃれな若者が大勢歩く夜も眠らない街です。

 昨年10月に米スポーツ専門テレビ局FOXスポーツが放送した「世界の筋金入りサポーターベスト5」という特集で浦和とともに選出されたガラタサライ。アウェーだった長友のデビュー戦は飛行機で約2時間かかる地シワスであったにもかかわらず、新戦力の日本人選手見たさに多くのサポーターがスタジアムを訪れていました。長友の背番号が55と発表されたその日はすでにオフィシャルショップに背番号入りユニホームが販売されるなど、熱気は本物。一方で、イスタンブールの住人の中にはガラタサライの名前を聞いただけで顔をしかめる人も。いわゆる「アンチ」が多いことも人気の裏返しです。

 テロなど危険なイメージもついてまわるトルコですが、入国してみると危険を感じることはありません。現在イスタンブールでは、名物のトルココーヒーを使った「トルココーヒー占い」が大流行中です。飲み終わったエスプレッソカップをトレーの上に逆さまに置いて5分ほど待ち、したたったコーヒーの模様で運勢を占うというもの。街のカフェには占い師がおり、人気の占い師がいるカフェには行列ができます。最近ではスマートフォン向けのアプリも登場。カップの写真を撮影して登録するだけで占いができるというものです。日本でトルココーヒーを飲まれる際は試してみてはいかがでしょうか。

 そんなあたたかな街と、熱いサポーターに迎えられた長友。クラブハウスは外周が高い壁と有刺鉄線で仕切られていて一般人は入れませんが、出口まで出てきて現地の子どもたちにサインを書く姿もありました。「とにかくサッカーのことを考えて、W杯のことを考えて、決断をした。インテルを離れたことも何の後悔もないですし、このクラブに来られてうれしい」と話した長友の目は、この新たな挑戦がロシアへつながっていると信じて疑わないものでした。

 ◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり)1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材し、現在はサッカーで主に浦和、アンダー世代を担当。