開幕したばかりの25周年のJリーグが今年、まったく新しい試みをスタートさせます。

 2月28日、今季から育成マッチデーを開催すると発表。従来のサテライトリーグを廃止し、それに代わる戦いの場をマッチデーという形で用意しました。

 目的は若手の強化と育成。全クラブに呼び掛け、初年度はJ1からJ3まで計6クラブが参加し、スタートします。

 注目は、従来のように勝ち点で順位を争うのではないことです。

 ポイント制で争うのですが、ポイントは以下の3つの基準で与えられます。

 (1)試合数と試合結果 1試合1ポイント、勝ちは1ポイント(引き分けと負けは0ポイント)

 (2)23歳以下選手の出場時間 23歳以下選手の年間出場時間を合計し、出場時間の多い上位5クラブに、1位5ポイント、2位4ポイント、3位3ポイント、4位2ポイント、5位1ポイント

 (3)試合環境 公式戦に近い環境(スタジアム使用など)での試合開催に1試合、ホームクラブに3ポイント

 (4)アウェー遠征 原則片道300キロメートル以上の遠征をしたビジター(アウェー)クラブに1ポイント

 1試合で手にできる最多ポイントは、試合を開催し(1)、勝ち(1)、試合環境を満たす(3)という5ポイント。これを積み重ね、シーズン最後に23歳以下の出場時間ポイントがボーナス点のように加わります。

 ポイントの合計で順位を決め、育成奨励金という賞金、1位400万円、2位300万円、3位200万円、4位100万円、5位50万円、6位30万円が支払われます。

 賞金を受け取るには3試合以上の実施が必要ですが、単純に勝ち点や勝敗で順位を争うのではない異例の取り組み。消化試合数もおそらく同じにはならず、極端な話、1試合も開催しなくても罰則はありません。試合は現在マッチメーク中で、調整が完了し日程確定後に発表されます。こちらも、自由です。

 原博実副チェアマンが「今までとは違う発想。かなり新しい試み」と期待を寄せれば、具体的な大会方式を決めたJリーグの黒田卓志フットボール本部長は、その仕組みを「完全にオリジナルです」と説明しています。

 FC東京やガンバ大阪、セレッソ大阪はすでにJ3にU-23チームを編成して参戦し若手を強化中。そのほかにも、より開催の自由度の高い練習試合で若手を育成したいというクラブも多く、移動の負担などもあって、初年度の参加クラブは少なめです。

 コンサドーレ札幌、横浜FC、ガイナーレ鳥取、ファジアーノ岡山、サンフレッチェ広島、レノファ山口の6クラブでのスタートですが、若手育成は、日本サッカーのよりどころであり、Jリーグの大きな課題です。

 この画期的な取り組みをさらに進化させ、来年以降は賞金の大幅増で、参加クラブも大幅増となるよう、初年度の成功を祈り、この取り組みを、注意深く見守っていきたいと思います。【八反誠】



 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本サッカー協会やJリーグなどを担当している。