初出場の履正社(大阪)は、今日5日の準々決勝で平野直樹監督(48)の母校四日市中央工(三重)と対戦する。平野監督は四中工時代に2度、全国選手権に出場したが、ベスト4に終わった高3の83年度大会は、準決勝会場が国立ではなく駒沢で、国立目前で涙をのんだ。国立改修前最後の大会で、選手とともに今度こそ国立切符をつかむ。

 履正社の平野監督が30年越しの夢に挑む。国立切符をかけた準々決勝の相手は母校・四日市中央工だ。4日、東京都内で練習を行い「名誉ある大会で四中工と戦えるのは素直にうれしい。いい内容の試合をして、今度こそ子供たちとともに国立に立ちたい」と話した。

 母校の先輩でもある相手の樋口監督とは3日の試合会場で握手を交わし、かつての恩師、四中工の城前監督からも電話で激励された。「兄弟対決のようなもの。うれしいですね」と、心躍らせる。

 両校はともにユニホームが白色のため、準々決勝は履正社が赤のセカンドユニホームで挑む。「チームにプライドを持たせたかった。大阪で赤と言えば北陽だから」と、かつて全国制覇をした関大北陽の野々村前監督の許可を得て、5年ほど前にセカンドユニホームを赤に変えた。

 3日の3回戦は、有楽町の大火事で新幹線が止まった影響で、大阪から日帰りで駆け付ける予定だった野球部員ら約100人の生徒が応援に来られなかったが、準々決勝は約200人が結集する。四中工には昨夏の練習試合で0-3で敗れている。09年度の山梨学院大付以来となる初出場4強へ。平野監督は「今度こそ国立へ」という強い思いを胸に選手とともに母校との対決に挑む。【福岡吉央】