サッカー日本代表の欧州遠征から外れたMF香川真司(28=ドルトムント)が、復権に懸ける思いを独白した。異例の行動となった10日ブラジル戦、14日ベルギー戦のスタンド観戦後、初めて口を開き、代表への覚悟を「これ以上ないほど考えた10日間」と告白。攻撃面に生き残りの活路を見いだし、来年6月のW杯ロシア大会へ再起の1歩を踏み出した。

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 どちらの試合も、混雑覚悟で後半終了の笛が鳴るまで見届けた。香川は「やはり気付いたら攻撃のところを見ていましたね。どれだけのチャンス、形をつくれるか。結果、明らかに最後の精度を欠いていたし、ボール保持でも苦しんでいた」。ベルギー戦のように守備を固めれば、スコア上は“惜敗”に持ち込める。だが、勝てはしない。2試合とも攻撃のスイッチが入らなかった中、こう思った。

 「あらためて、自分がチームの中で何をしなければいけないかを確信した」

 ハリルホジッチ監督は香川の守備面に物足りなさを感じている。香川も「チームがこのまま(守備的)なら自分の居場所は危うい」と自覚しつつ「リスクを負わないと得点も勝利も得られない。僕には(攻撃面の)良さがあったから代表に呼ばれてきたわけで、その良さは崩しちゃいけない。自分が生きれば、もっと強くなる可能性を感じた。あとは自分次第」。歯車をスムーズに回し、課題を解消するイメージが膨らむ。

 経験面でも重要性を感じている。本田、岡崎との「ビッグ3」不在だった今回はハリル体制2度目の2連敗。「ビッグ3とか呼ばれてましたっけ」と笑いながら「いたらどうだったかは分からないけれど、圭佑君も岡ちゃんも経験があって存在感が大きい。ゲームの流れを読み、ピッチの中で変えたり動かせる数少ない選手。まだまだ今の代表で貢献できることはある」。

 影響の一例として挙げたのが、対ベルギー終盤だ。「0-1で残り20分という中、リトリート(後退)しても前に(杉本)健勇しかいない状況では点を取りにいけない。3トップが相手の3バックをはめにいって高い位置で奪い、一気に前へ出ないと。それなのに、両ウイングが相手のウイングバックを見て下がったままで良かったのか」と指摘した。「もちろん外から言うのは簡単で、ピッチ内での難しさは誰よりも分かる」と仲間をフォローしつつ「今回の僕ら3人だけじゃなく、臨機応変に対応できる中心選手が7、8人はいないと」。ブラジル戦後、本田と電話した事実も明かし「僕から内容は言えないけれど、考えは共有できた」。客観的な視点同士、新たな発見、収穫もあった。【木下淳】